マーケティングコラム
企業の魅力を最大限に伝える!
採用活動のトータル戦略ガイド(前編)
本記事では、効果的に採用活動を進めるポイントをコンテンツごとに解説します。
こんな方にお勧めの記事です。
- 採用担当者
- マーケティング担当者
- 広報・企業PR担当者
![[イメージ]企業の魅力を最大限に伝える!採用活動のトータル戦略ガイド(前編)](../../common/img/marketing-guide/2025/202504_30/img01.png)
現代の採用活動は、就職情報サイトに求人情報を掲載するだけでは十分ではありません。学生が企業を選ぶ際の基準は多様化しており、企業側も自社の魅力をさまざまな角度から伝える必要があります。そのためには、企業説明会やインターンシップといったイベントの開催、採用サイトに掲載している情報の充実化、動画を活用した企業紹介、さらにはSNSでの情報発信まで、トータルでの採用戦略が求められます。
この記事では、これらの施策を効果的に実践するためのポイントを解説し、企業の魅力を最大限に伝える採用活動の方法を紹介します。
学生が企業を探す際の情報源はなにか?
まず、学生が就職活動を始める際に、どのような経路で企業を探しているのかを把握することが重要です。
以下のグラフは、2025年卒業予定の学生1,030名を対象に、企業探しの際に役立つ情報源について調査した結果を示しています。
●企業探しに有益な情報源(n=1,030)
![[イメージ]企業探しに有益な情報源(n=1,030)](../../common/img/marketing-guide/2025/202504_30/img02.png)
- 引用元 :株式会社キャリタス
2025年卒 採用ホームページに関する調査(外部サイトにリンクします)
この調査結果から、「就職情報サイト」が76.3%と最も多くの学生に利用されており、次いで「合同企業説明会」、「学内企業説明会」、「個別企業の説明会」などの各種説明会が企業探しの主な情報源となっていることがわかります。
また、6位に「SNS」がランクインしている点も注目すべきポイントです。現在、SNSは検索エンジンと並ぶ情報収集ツールとなっており、学生は普段から使い慣れたSNSを通じて企業の発信する情報に触れていることがわかります。
採用活動に取り組む際には採用サイトを充実化させるとともに、企業説明やインターンシップなどのイベント、SNS、動画などを駆使して、企業の魅力を多方面から伝える重要性をご理解いただけたのではないでしょうか?
オウンドメディアを活用して、学生が求める情報を積極的に発信していきましょう!
次章からは採用活動を効果的に実践するためのポイントを施策ごとに解説します。
企業説明会とインターンシップの実施
最初に企業説明会やインターンシップなどの採用向けイベントを実施する際のポイントを解説します。
(1)企業説明会
企業説明会は、学生が企業を探す段階で重要な情報源となります。同時に企業側にとっては、「母集団の形成」と「企業理解の促進」という2つの目的を果たす場でもあります。
母集団とは、採用活動の初期段階で企業が接触する学生の数を指します。この時点で多くの学生と接点を持ち、自社への関心を高めることが採用活動の成功につながる重要な要素です。
もう一つの目的である「企業理解の促進」は、特に競争が激しい業界や知名度の低い企業にとって重要です。企業のビジョンや事業内容、働き方の多様性、福利厚生などを丁寧に伝えましょう。
企業説明会には、合同企業説明会、個別企業説明会、Web説明会などの種類があります。
●合同企業説明会
合同企業説明会とは、複数の企業が同じ会場で開催する説明会のことで、多くの学生が集まるのが特徴です。このため、自社の魅力を幅広い学生にアピールできるだけでなく、他社の説明会を目的に来場した学生が興味を持つきっかけにもなります。
しかし、参加企業が多いため、自社ブースに学生が集まらないと、企業の人気が低いという印象を与えかねません。
●個別企業説明会
個別企業説明会は、企業が単独で会場を確保し、自社に関心を持つ学生を対象に実施する説明会で、十分な時間を確保して企業の魅力をしっかりと伝えることができます。
また、学生からの質問に直接答えたり、社員と交流する場を設けたりすることで、学生の疑問を解消し、就職活動に対する考え方を把握することが可能です。
●Web説明会
Web説明会は、インターネットを活用してオンラインで開催される企業説明会であり、近年その需要が高まっています。遠方の学生でも気軽に参加できるため、多くの学生に企業の魅力を伝える機会を増やすことができ、会場費や人件費などのコスト削減にもつながるというメリットもあります。
しかし、対面形式に比べるとコミュニケーションが取りにくく、参加者の反応が把握しづらいという課題もあります。そのため、チャット機能を活用して質問を受け付けたり、説明会終了後にアンケートを実施したりすることで、参加者の意見を積極的に取り入れる工夫が重要です。
(2)インターンシップ
インターンシップは、企業での就業体験を通じて一定期間働きながら、業界や職種の実務について学ぶプログラムです。インターンシップを実施することには大きなメリットがあります。採用活動のスピードが加速する中で、優秀な人材を確保するためには、早い段階で学生と接点を持つことが重要です。
また、インターンシップは、学生が企業活動を実際に体験する機会でもあり、自分に合った仕事かどうか、将来の働き方について具体的にイメージしやすくなります。もし「自分には合わない」と判断された場合でも、入社後のギャップによる早期離職を防ぐことにつながります。
インターンシップは開催期間によって、1day・短期・長期などのタイプがあり、それぞれ異なる目的や内容で実施されることが特徴です。
●1dayインターンシップ
インターンシップは1日限りでの開催も増えており、企業の説明や業務内容の体験、社員によるセミナー、グループワークなどを実施することが多いです。
短期間のため、学生も参加しやすい内容となっていますが、実際の業務に深くかかわるというよりも企業の全体的な事業内容を知る場として活用されています。
●短期インターンシップ
開催期間は数日~1カ月程度で、学生が休みとなる夏や冬に開催されることが多いです。
実際の業務体験や課題解決のグループワークの実施、社内でのプレゼンに参加するなど、体験する業務の幅が広まります。夏季休暇や冬期休暇を利用することで、学業やサークル活動とも両立しやすいという特徴があり、多くの学生が参加しています。
●長期インターンシップ
開催期間は2、3カ月以上の長期間で実際の企業の一員として職務体験を行います。
ビジネススキルや業界への知識向上、ビジネスマナーなど、多くのことをしっかりと学べるので、有意義な体験となります。企業側でも参加者と深く交流することができるので、学生の志望度向上やミスマッチを防ぐのに非常に有効です。
その一方で、学業との両立が難しく、1dayや短期インターンシップに比べると参加者が少なくなる傾向にあります。学生と話し合い、日程が無理ないものかを確認したうえで、インターンシップに参加してもらうようにしましょう。
企業説明会やインターンシップは、学生と企業の接点を増やし、相互理解を深める重要な採用施策です。それぞれの形式や目的に応じた適切なアプローチを取ることで、企業の魅力を効果的に伝え、優秀な人材の確保につなげることができます。単なる情報提供にとどまらず、学生との対話や体験を通じて「この企業で働きたい」と思ってもらえるような場を提供することが重要です。
しかし、企業説明会やインターンシップの開催には、会場や機材の手配、説明員の確保、運営管理など、多くの負担が伴います。そのため、スムーズな運営を実現するために、イベント開催を支援する専門企業に依頼するのも有効な選択肢の一つです。
関連情報
展示会・イベント運用|東芝デジタルマーケティングイニシアティブ株式会社
![[イメージ]採用動画の制作](../../common/img/marketing-guide/2025/202504_30/img03.png)
採用動画の制作
採用動画は、学生に社風や仕事内容、働く環境を具体的にイメージしてもらうための重要なツールです。企業の魅力を視覚的に伝えることで、応募数の増加が期待できるだけでなく、職場の雰囲気や社員の一日の様子を動画で知ることで、自分に合った働き方かどうかを判断しやすくなります。これにより、採用後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
ここからは、効果的な採用動画を制作するためのポイントを解説します。
●会社紹介動画
会社紹介動画は採用活動以外の場面でも幅広く活用されるため、企業にとって欠かせないコンテンツです。企業の理念やビジョン、歴史、事業内容などを動画でわかりやすく伝えることが重要です。企業や商品のブランドイメージと照らし合わせながら、動画で訴求したいメッセージを明確に定めましょう。
ただし、会社のことを詳しく伝えたいからといって情報を詰め込みすぎると、何を一番伝えたいのかが不明確になり、動画が長くなりすぎて視聴者が途中で飽きてしまう可能性があります。そのため、伝えたいメッセージを絞り込み、動画の長さは3分以内に収めることを意識しましょう。
また、会社紹介動画は自社サイトへの掲載、採用イベントでの上映、SNSアカウントへの投稿など、さまざまな場面で活用されます。再生される媒体に応じて、動画の構成やナレーション、テロップなどを調整するのが効果的です。
●オフィス紹介動画
オフィス紹介動画は実際の職場の様子を見せ、入社後にどんな環境で働いていくことになるかを学生にイメージしてもらいやすくなります。また、オフィスで社員が働く様子や自然にコミュニケーションをとる様子を撮影することで、社風も伝わりやすくなります。
●社長メッセージ動画
社長メッセージ動画では、社長自らが企業理念やビジョンを語ることで、学生に対して企業の方針や方向性を明確に伝えることができます。テキストでは伝わりにくい社長の熱意や考え方を動画で伝えることで、自社への想いやどんな人を求めているかを伝えることができます。
●社員インタビュー動画
社員インタビュー動画では、実際に働いている社員に自社の魅力や強み、どのような経緯で入社したのか、経験談などを語ってもらうことで、学生にリアルな情報を提供できます。
普段の業務内容やキャリア形成などを具体的に語ることで、学生にも入社後の働き方やどのようなスキルを身に着けておくといいかのイメージが湧きやすくなります。
上記のような動画が採用活動には求められますが、活用場面をイメージして、動画の構成や長さを決めるようにしましょう。例えば、会社紹介動画や事業内容の紹介は3分以内、社長メッセージ動画や社員インタビューのようなインタビューを含める場合は5分以内、SNSでの拡散を目的とする場合は1分以内のショート動画のように内容や目的に応じて、動画を制作するようにしましょう。
関連情報
映像制作|東芝デジタルマーケティングイニシアティブ株式会社
SNSの活用
現在、SNSの利用者は年々増えており、学生の利用率も非常に高くなっています。SNSは拡散力が高く、多くのユーザーに情報を届けられるという強みがあります。採用情報や企業の活動を定期的に発信することで企業の認知度を高め、学生との距離感を縮めていきましょう。
以下に、採用活動に利用可能な代表的なSNSをご紹介します。
●X(旧Twitter)
月間アクティブユーザー数は6,700万人、20代での利用率が特に多く、学生も利用者が多いSNSです。Xの大きな特徴はリポストやいいね機能により、拡散力が高いので認知拡大に役立ちます。
投稿文の文量が少ないので簡単に運用できるというメリットもありますが、深い内容の情報発信には不向きです。また、拡散性が高いことと匿名ユーザーが多いので、炎上しやすいというリスクがあります。
月間アクティブユーザー数は6,600万人、10~20代の利用率が高く、学生の利用者も多いです。
「インスタ映え」という言葉もあるように画像や動画などでのビジュアル訴求に強みがあり、視覚的にアピールしやすい強みがあり、ファッションや飲食、観光などの画像や動画映えする商品やサービスなどを提供することが多い企業との相性がよいです。反対にビジュアル的な訴求が難しい商品やサービスを取り扱う業界とは相性が悪いSNSです。
●YouTube
月間アクティブユーザー数は7,120万人、幅広い年齢層で利用されており、動画をメインにするSNSです。会社紹介動画や事業紹介動画のような動画を投稿することで、企業への理解を深めてもらうのに適しています。また、1分以内のショート動画は再生されやすいので、社員への一問一答や採用イベントの告知動画などで活用するとよいでしょう。ただし、他のSNSと比較すると投稿するコンテンツ作成のハードルが高いという点に注意しましょう。
月間アクティブユーザー数は400万人、他のSNSよりもビジネスに特化しているという強みがあります。徐々に学生のユーザー数が増えています。企業ページを作成し、情報発信をできたり、採用についてもスカウトメールの機能を活用したりすることができます。
しかし、他のSNSに比べるとユーザー数が少ないので、アプローチできる母数も少なくなります。
以上が、採用活動に利用される主なSNSになります。もちろん、上記以外にも多くのSNSがあるので各SNSの特徴を踏まえたうえで自社に合ったSNSを運用するようにしましょう。
関連情報:以下をご参考になさってください
SNS活用支援|東芝デジタルマーケティングイニシアティブ株式会社
まとめ
現代の採用活動は、単に求人情報を掲載するだけでは十分ではありません。学生が企業を選ぶ基準は多様化しており、企業説明会やインターンシップを実施して学生との接点を増やしたり、動画やSNSを活用した情報発信をしたりして、企業側も自社の魅力を多角的に伝える必要があります。
前編では企業説明会やインターンシップ、採用動画制作、SNS活用を効果的に実践するためのポイントを解説しました。企業説明会やインターンシップでは、学生に将来の自分が働いていくイメージを持ってもらうとともに、企業と学生の双方での理解を深めることが重要です。
また、採用動画やSNSを活用することで、企業の魅力を視覚的に伝え、学生との距離感を縮めて応募数の増加やミスマッチの防止につなげることができます。企業説明会やインターンシップ、採用動画、SNSなどの採用関連の施策を実施した際には、実施した効果を分析することも心がけましょう。
これらの施策を総合的に活用し、企業の魅力を最大限に伝えることで自社が求める人物像に合った、人材の確保につながります。
後編では採用活動での情報発信に欠かせない採用サイトについて、学生がどんな情報を重視しているかの紹介や掲載すべき情報、制作手順のポイントを解説します。お楽しみに!
■過去のコラムは以下からご覧ください。
マーケティングコラム
※本記事は、2025年4月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。