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BtoB企業の採用担当者が取り入れるマーケティング視点とは?

本記事では、採用活動の際に取り入れるマーケティング視点について、具体例とともに解説します。

以下のような方々にご紹介する記事です。

  • 採用担当者
  • 最新の取り組みで企業の経営改善を望む方
  • デジタル業界の最新動向にご興味のある方
  • マーケティング担当者
BtoB企業の採用担当者が取り入れるマーケティング視点とは?

企業や社会の未来を担う人材の採用活動。採用活動のリソースが十分でない、さまざまな施策を試しているが応募がなかなか寄せられない、デジタル施策やSNSの運用方法などの知見が十分にないなど、課題を感じたり、苦戦したりしている採用担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、求める人材を採用することと、採用した人材を早期退職させないため、自社を選んでもらうポイントをご紹介します。

市場概況

近年、労働人口の減少、売り手市場へと変化したことなどにより、会社間での人材の獲得競争が激化しています。「3年3割」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。厚生労働省「新規学卒者の離職状況(外部サイトにリンクします)」で発表されている大卒者が入社3年以内に離職する割合です。この調査の中でその離職理由は明らかにされていませんが、全国求人情報協会が行った以下の調査結果をご覧ください。

● 早期転職者の初職離職理由

早期転職者の初職離職理由

早期転職者の初職離職理由の1位は「仕事内容への不満」が51.5%、「人間関係への不満」40.9%となっており、仕事内容や職場環境への不満が、初職を離れるきっかけとなっていることが分かります。また、会社の将来に対する不安という理由も第4位に入っています。

では、実際に就職する前の様子はどうでしょうか。求職時の希望職種についての数字をまとめた結果の一部をご覧ください。

● どのような職種の仕事を探していましたか。

どのような職種の仕事を探していましたか。

(調査期間2023/9/12-19、n= 13,038人 ※ウエイトバック集計を実施)

職種としては「事務」を探していた人が34.6%ともっとも多く、次に「販売・サービス」18.6%、そして「事務」は女性・計41.6%と高く、当時契約社員または派遣社員だった人では5割を超えています。また、無職、定年退職では「特に希望する職種はなかった」が20.6%を占めている状況です。

データをもとに考える

先出の調査結果では、就職してからの仕事内容に不満を感じたり、人間関係などを含む職場環境にギャップを感じて不満に思ったり、会社の将来を不安視して早期退職する人がいることがわかります。また、職を求めている人たちには、業務内容が幅広い「事務」の仕事を探している人が多く、「特に希望する職種はなかった」という人たちもいる実態も見えます。
これらのデータをもとに考えると、早期退職者を増やさないことと、また希望する職種につくことが出来る人を増やす(希望する人材を採用する)ということは、採用する企業にとっては、とても密接な関係にあるということです。

つまり、企業と求職者のマッチングが的確に行われれば、この2つは課題解決に向けて前進します。そして、企業が採用活動を展開する際には、ターゲティングと情報発信と分析、つまりマーケティングの視点を考慮する、ということが大変重要と考えることができます。

さまざまな人たちが求職活動をする中、給与や福利厚生などの条件だけではなく、仕事の意義ややりがい、自身の成長についても注目する傾向が年々強まっているようです。価値観の多様化にも対応しつつ、採用活動(特に情報発信の観点)では、仕事の内容やその困難さをやりがいと合わせてさまざまな方法で伝えたり、会社の将来について具体的に紹介したりするような工夫が大切といえるでしょう。

[イメージ]データをもとに考える

ここがポイント!

価値観の多様化が進んでいる現代の求職者に対して効果が期待できる採用活動を行うには、マーケティングの視点を取り入れることが重要です。これは、求職者を単なる応募者ではなく、自社の「商品」に興味を持ってもらうべき「顧客」として捉え、そのニーズに合わせたアプローチを展開することを意味します。

どのようなことに留意すると良いのか、以下のようにいくつかのポイントをご紹介しましょう。

●求職者のことを理解する
ターゲットとする求職者層の価値観や関心事を深く理解することから始めます。SNSやオンラインフォーラム、アンケート調査などを通じて情報を収集し、どのような職場環境や企業文化、キャリアアップの機会に価値を見出しているのかを把握します。

●魅力あるコンテンツを発信する
得られた情報をもとに、企業の強みや魅力を前面に出したコンテンツを制作します。例えば、多様性と包摂性を重視する求職者には、異文化を尊重し、様々なバックグラウンドを持つ従業員が活躍している様子を伝えるビデオやインタビュー記事が有効です。
また、キャリア成長を重視する人には、社内での成長事例や教育・研修制度を紹介するコンテンツが響きます。

●リアルな情報発信を心がける
企業のWebサイトやSNS、求人広告において、これらのコンテンツを適切に配信します。特に、InstagramやLinkedInといったプラットフォームでは、ビジュアルコンテンツやストーリー機能を活用して、企業文化や働く人々のリアルな声を効果的に伝えることができます。また、オンライン配信による説明会やライトな形式の事業紹介セミナーを開催したり、会社紹介映像や先輩社員のインタビュー動画の投稿や配信したりすることも有効です。

●マーケティング視点を取り入れる
マーケティングの基本である「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の戦略を採用活動に応用します。具体的には、ターゲットとする求職者群を細分化し、それぞれのニーズに合わせたメッセージを定義。企業としての独自の立ち位置(ポジショニング)を明確にし、それを伝えることで、求職者にとっての企業の魅力を最大化します。

●採用プロセスの利便性を高める
求職者の採用におけるアクション(体験)を重視し、スムーズでポジティブなものにすることが重要です。オンラインでの簡単な応募プロセス、迅速なフィードバック、業界・企業説明会やインターン、柔軟な面接スケジュールなど、求職者の利便性を高める取り組みが、良い印象を与え、結果として良質な人材の獲得につながります。

このように、マーケティングの視点を採用活動に取り入れることで、価値観の多様化が進む求職者に対して、企業の魅力を効果的に伝え、優秀な人材の確保につなげることが期待できます。

[イメージ]ここがポイント!

今後の展望

日本国内のBtoB企業における採用活動は、デジタル化と価値観の多様化が進む中で、新たな展望を迎えています。技術革新により、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用したインタラクティブな仕事体験、オンラインで行う説明会とカジュアルな面接・相談会など、デジタルツールを駆使した採用プロセスの充実が進むと考えられます。

また、求職者の価値観に合わせた柔軟な働き方の提案、例えばリモートワークの積極的な導入や多様なキャリアパスの提供など、働き手のニーズに応じた多様な働き方の選択肢を提供することが重要になってきます。また、入社後のオンラインとリアルの研修制度充実なども求職者自身が見据える成長のステップとして大切な仕組みです。

さらに、社内外とのコミュニケーション創出のための施策や、企業文化や社会への貢献度をアピールすることで、企業価値とブランド力の向上や、その企業の将来性を実感してもらうなど、優秀な人材を引き寄せるための戦略的な取り組みが求められるでしょう。

このように、マーケティングの視点を大切に、テクノロジーと人間性を融合させた採用活動を展開することで、BtoB企業は持続可能な成長を遂げる人材を確保し、未来に向けた競争力を高めていくことが期待されます。

次回は「Account Engagement(旧 Pardot)の特徴や機能、マーケティング効果とは?」についてご紹介予定です。
どうぞお楽しみに!

■過去のコラムは以下からご覧ください。
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※本記事は、2024年3月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。

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