マーケティングコラム
本記事は、社内業務効率化やユーザーの満足度を高めるWebサイトに欠かせない、Webガイドラインの重要性について解説します。
こんな課題を持つ方にお勧めの記事です。
- 自社のWebサイトの一貫性を確保したい
- 効率的にWeb運用を行いたい
- ユーザーにとって利用しやすいWebサイトを制作したい
現在、Webサイトにはアクセシビリティの向上が求められています。アクセシビリティとは、あらゆる人が利用しやすい状態を指し、Webサイトでは誰もが提供されている情報やサービスを利用できることを意味します。これを実現するためには、コンテンツやデザインを常に改善し続ける必要があります。
そのために欠かせないものがWebガイドラインです。Webガイドラインを策定することで、Webサイトの一貫性を保ちながらアクセシビリティを向上させることができます。さらに、ガイドラインに従ってWeb更新を行うことで、作業がスムーズに進み、業務効率化にもつながります。
今回は、Webサイトのアクセシビリティを向上させるために取り組むべきポイントと、Webガイドラインを策定する際の重要なポイントをご紹介します。
2024年4月1日より改正された障害者差別解消法が施行され、事業者による障害のある人に対する合理的配慮の提供が義務化されました。この法律は、障害を理由としたサービス提供の拒否などの不当な差別的取り扱いを禁止し、障害の有無に関わらずすべての人がより良い生活を送れる社会の実現を目指しています。このような背景から、Webサイトではアクセシビリティ向上が求められるようになりました。
ここで、2020年代に入ってから、企業のWebアクセシビリティに対する認識やアクセシビリティ向上に向けての活動はどれくらい広まっているかを見てみましょう。Web関連企業に所属する807名を対象にして、Webアクセシビリティに関するアンケートを実施した結果が以下のものになります。
Webアクセシビリティについて、60%以上の人がその内容を知らないと答えています。また、Webアクセシビリティ向上に向けて活動している人や部署はわずか21%にとどまっています。さらに、約30%の人が「わからない」と回答しており、自社のWeb運用状況を把握していないことが明らかになりました。次に、Webアクセシビリティを進めていく際に考えられる課題を調査した結果が以下のグラフです。
Webアクセシビリティを進めていく際の課題としては、Webアクセシビリティについて知見がある人がいない/最適な人材がいない」29.2%が1番多く、次いで「リソースが足りない」が27.0%と高い割合を占めているという結果となっています。
- 引用元:株式会社インプレス(外部サイトにリンクします)
調査期間:2020年9月24日~26日
調査結果から、60%以上の人がWebアクセシビリティの内容を知らないことがわかりました。また、Webアクセシビリティ向上に向けて活動している企業は全体の21%に過ぎません。合理的配慮の義務化によりWebサイトのアクセシビリティ向上が求められているにも関わらず、内容の理解不足と具体的な活動の遅れが浮き彫りになっています。
さらに、Webアクセシビリティ向上を目指す際に、「何から手を付けたらよいかわからない」「課題がわからない」といった回答が多いことも、内容理解が進んでいないことを示しています。Webアクセシビリティ向上を目的とした取り組みを進めようとしても、知見のある人がいない、リソースが不足しているなどの新たな課題に直面することになります。
これらの課題を解決するには、Webアクセシビリティについての理解を深めることが必要です。その上で、具体的にWebガイドラインを策定し、効率的にWebサイトの構築・運用を行うことが求められます。
Webアクセシビリティを向上させるためには、その内容を理解し、Webサイトの構築や更新を行うことが重要です。また、Webガイドラインを策定し、効率的なWeb運用を行うこともポイントとなります。
まずは、Webアクセシビリティを向上させるためのポイントをご紹介します。
①Webサイトの一貫性を保つ
Webサイト全体でメニューやリンク、ボタンの配置などを一貫した設計にします。これにより、ユーザーが簡単に知りたい情報に辿り着けるようになります。
②画像や動画に代替テキストを使用する
画像や動画に代替テキスト(alt属性)を付随することで、視覚障害者がスクリーンリーダーを使って、コンテンツの内容を理解できるようになります。
③音声・動画コンテンツに字幕を追加する
音声や動画コンテンツをWebサイトに載せる際には、字幕やテキスト説明文を追加しましょう。これにより、聴覚障害者も内容を理解することができます。
④色のコントラスト比を高くする
テキストの色と背景色とのコントラスト比を十分に確保することで、色覚異常者がWebサイトを閲覧した際にテキストが読みやすくなります。
⑤文字のサイズを変更できるようにする
小さい文字は高齢者や弱視の人にとって読みにくいので、ユーザーが見やすいと感じるサイズに、文字の大きさを変更できる機能があると便利です。また、初期設定の文字が小さくなり過ぎないようにしましょう。
次に、効率的なWeb運用に欠かせない、Webガイドラインを策定する際のポイントをご紹介します。
①明確な目標を立てる
ガイドラインを策定する際には、しっかりと目標を立てることが重要です。Webサイトの公開目的やガイドラインがカバーする範囲を定め、従業員全員がWebサイト制作・運用の方向性を理解できるようにしましょう。
②デザインルールを設定する
Webサイトのデザインに一貫性を保つために、色、フォント、レイアウト、画像サイズなどについて、ガイドラインでルールを定める必要があります。見た目を揃えることでブランドイメージの創出にもつながります。
③Webサイトの使いやすさを優先する
ユーザーの視点に立って、使いやすさを最優先にして、ガイドラインは策定しましょう。デザイン面だけではなく、業界・企業の専門用語は使わずに、わかりやすい内容を心がけることも大切です。
④セキュリティ対策を行う
サイバー犯罪などからのデータ保護や訪問したユーザーのプライバシーを守るために、セキュリティ対策についてもガイドラインに明記しておきましょう。また、情報漏洩などが発生した際の対策も記入しておくことで、被害拡大を防ぐことができます。
⑤コンテンツの更新手順をまとめる
Webコンテンツを更新する際に、担当者によってデザインなどが異なるといったことがないように、更新手順をまとめておきましょう。これにより、Webサイトの一貫性を保ちつつ、最新のコンテンツを公開可能です。
⑥定期的に改善する
ガイドラインは策定したら終わりではありません。ユーザーや開発者からのフィードバックをもとに、定期的にガイドラインを見直して、改善していくことが重要です。
上記のポイントを抑えたうえで、ガイドラインを策定するとユーザーが使いやすいと感じるWebサイトを制作することができ、自社のWeb運用の効率化も図れるので、大いに役立ちます。自社だけでガイドラインを策定することに不安がある場合、Webサイトに精通した企業にガイドライン策定を依頼するというのも1つの方法です。その際には、Webサイトの方向性やガイドライン策定の目的を共有することが重要です。
※関連情報:以下をご参考になさってください
Webガイドライン策定支援
合理的配慮の義務化により、誰にとっても情報へアクセスのしやすく、使いやすいWebサイトが求められるようになっており、Web運用の重要性は増しています。その一方で、Webガイドライン策定などで業務効率化を図り、限られたリソースで業務を進めていくことを工夫する必要があります。効率的なWeb運用で社内の負担を減らしつつ、魅力的なコンテンツを発信できるWebサイト制作を目指しましょう。
■過去のコラムは以下からご覧ください。
マーケティングコラム
※本記事は、2024年7月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。