マーケティングコラム
本記事は、ユーザーや従業員の声を効果的に集める方法とその重要性について解説します。
こんな課題を持つ方にお勧めの記事です。
- お客様や従業員の興味やニーズを多角的に発掘したい
- 業務の効率化で、重要な業務に時間を割くようにしたい(機会を創りたい)
- 営業活動における集客や見込み客の育成を効率化したい
- 分析やレポート・報告の時間を削減し、企画や外部へのアクションのための業務に活用したい
BtoBマーケティングにおいて、ユーザーや顧客と接点のある従業員の声などを効果的に集める重要性はますます高まっており、最新の方法は技術の進歩によって進化し続けています。今号では、最新動向や手法をご紹介します。
企業のDX(*1)推進の観点で、中小企業のデジタルツール活用実態に関し、経営者・役員217名が回答した以下の調査結果があります。
*1 DX:デジタルトランスフォーメーション/データとデジタル技術によって商品やビジネス、業務、企業文化等の変革を成し遂げるもの(目的は競争力の維持・獲得・強化を果たすこと)
現在の取り組みは、「経理・経費精算」が40.1%と高い数字で、それに続いたのが「営業」29.5%。また、「マーケティング」は8.3%でした。また、今後取り組みを検討/発展させたいDX領域について質問したところ、「営業」が26.7%、「顧客・取引先管理」が23.5%、「マーケティング」が20.7%という回答となっていました。
- 引用元:一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会
中小企業のデジタルツール活用実態に関する調査(外部サイトにリンクします)
調査期間:2022年4月15〜18日(インターネットによる調査)
上記の調査結果により、今後取り組みを検討/発展させたいDX領域として、現在では数字の割合(%)や順位が低かった、顧客接点のある「営業」や「顧客・取引先管理」、「マーケティング」などが高順位の結果となっており、顧客接点のある部門(分野)に今後の希望を持っていることがわかりました。
これらの部門に共通していることは、ユーザーの声をもとにどのように顧客満足度を上げたり、受注につなげたりするかを考えたり、まとめたりしていること。また見込顧客やユーザーの近くにいる従業員の声についても、しっかりと把握し、経営に反映させることが今後、企業にとってますます重要となっていくと考えられます。
最近では、「声を集める」方法については、AIチャットボットやバーチャルアシスタントを利用することで、顧客との対話をリアルタイムで行い、自然な形でフィードバックを収集する方法や、感情分析や自然言語処理を用いて、テキストベースのフィードバックから顧客の感情やトレンドを分析して、大量のデータから有益なインサイトを抽出、迅速な意思決定を支援するなど、最新の手法が注目を浴びています。
また、従来のさまざまなチャネルを通じて、フィードバックを提供できるようにして、顧客が最も快適な方法で回答してもらう(回答率が向上する)手法や、複数のチャネルから収集した声を統合して全体像を把握したり、顧客の行動や取引の直後にフィードバックを求めたりするプロアクティブフィードバックなども、変わらずに使われている手法です。
特に、BtoBマーケティングにおいて、ビジネス成長に必要なユーザーや顧客の声(Voice Of Customer、以下VoC)、ユーザーや顧客と接点のある従業員の声を効果的に集める方法は、製品やサービスの改善、顧客満足度の向上、そして最終的なビジネス成長に直結します。
以下に、その具体的な手法を箇条書きでご紹介します。
●定期的な顧客満足度調査
顧客に対して、製品やサービスに関する質問を定期的になげかけてVoCを収集、満足度を確認します。Webサイトやメールにフィードバックフォームを設置し、顧客が簡単に意見を提供できるよう工夫します。長期的なトレンドを把握し、調査結果をもとにアクションプランを策定し、実行します。
※関連情報:以下ご参考になさってください。
Webアンケートシステム(WSS)
●インタビュー
顧客インタビューを実施し、直接的なフィードバックを得ることで、深い洞察を得ます。また、ターゲットにしている業界や業種などのグループを設定して複数の顧客から意見を収集したり、デプスインタビューと呼ばれる一対一で意見を収集したりするなどし、共通の課題やニーズを明らかにします。
●ソーシャルメディアとオンラインレビューのモニタリング
SNSやオンライン上でのレビューがまとまっているWebサイトを確認・監視し、どのような内容が投稿されたり、やりとりされたりしているのかを追跡し、分析します。顧客や市場における生の声やトレンドを把握し、迅速に対応することができます。特に重要なフィードバックやトレンドを定期的にレポートとしてまとめ、社内で共有します。
●カスタマーサポートとの連携
顧客からの問い合わせやクレームについて、カスタマーサポート部門と連携し、分析します。サポートチームから得たフィードバックを製品改善やサービス向上に役立てます。
●展示会やウェビナー、イベント
展示会やウェビナー、カスタマーカンファレンスや展示会などを開催もしくは出展し、直接顧客の意見を聞く機会を設けます。イベント終了後にはフォローアップのアンケートを実施し、参加者の声を集めます。
●AIを活用したチャットボットおよびアンケートシステム
ユーザーのフィードバックをリアルタイムで収集し、分析することが可能です。AIを活用したこの方法は、ユーザーが自分の時間に合わせて意見を提供できる柔軟性があるため、回答率が高まります。ユーザーや顧客の問い合わせに対応するだけでなく、会話の中で顧客満足度(CSAT)やネットプロモータースコア(NPS)(*2)を計測、迅速に改善点を見つけ出すことができるでしょう。
*2 ネットプロモータースコア(NPS):友人や家族などに商品やサービス、あるいは企業そのものをすすめたいと思う度合い(推奨度)をスコアで表すもので、顧客ロイヤルティを測る指標の一つ。
※関連情報:以下ご参考になさってください。
チャットボット導入・運用支援
幾つかご紹介しましたが、これらは最新技術を駆使して顧客の声を効率的に収集し、ビジネス成長に役立てる具体的な手段です。
BtoBマーケティングにおいては、これらのような手法を組み合わせ、VoCや従業員の声を効果的に収集した後に、そのデータをテキストや定量、感情などの視点で分析、顧客やユーザーのニーズや不満を明確にします。その上で、製品やサービスの改善、カスタマーサポートの強化、マーケティング戦略の見直しなどに取り組むのです。このようにVoCや従業員の声を継続的に収集し、分析活用するフィードバックループを構築することが大切です。このようにすることで、満足度の向上や新規顧客の獲得に繋がります。
重要なのは、集めた声を単なるデータとして扱うのではなく、施策や実際のアクションに結びつけることです。顧客との信頼関係が強化され、持続可能なビジネス実現に繋がるでしょう。
■過去のコラムは以下からご覧ください。
マーケティングコラム
※本記事は、2024年6月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。