マーケティングコラム
*本記事では、BtoBマーケティング戦略の立て方について解説します。
*こんな方にお勧めの記事です。
- BtoBマーケティング戦略を立てたい方
- BtoBマーケティングの基本を学びたい方
- BtoBマーケティングの成功事例を知りたい方
BtoB(Business to Business)マーケティングとは、企業が他の企業に対して商品やサービスを販売する際の戦略および施策を指します。具体的には、企業同士のビジネス取引を促進するために、適切な方法で情報を伝え、関係を築き、有効商談を創出するプロセスです。BtoBマーケティングにおいては、顧客のニーズや課題を深く理解し、効果的なマーケティング施策を実施することが重要です。
BtoBマーケティング戦略を成功させるためには、以下の5つのステップを踏むことが大切です。
- 1. 目的と目標の設定
- 2. 自社の価値の理解
- 3. ターゲット顧客の理解
- 4. 競合の分析
- 5. 施策の実行計画
目次
BtoBマーケティング戦略を立てる際には、まずマーケティングの目的と目標を明確にすることが重要です。目的とは、マーケティング活動によって達成したいことを指します。目標とは、具体的な数値で表した目的の達成度合いです。
目的と目標を設定する際には、以下のポイントを押さえましょう。
- ・具体的で達成可能な目標を設定すること
- ・複数の目的や目標を設定すること
- ・時間軸を明確にすること
具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
目的 :売上アップ
目標 :売上10%増
時間軸:2023年度末
しかし、これからマーケティング組織・チームを設立、立ち上げ段階にある場合は、「売上アップ」を目標にするのは少し敷居が高いかもしれません。
BtoBマーケティング活動において、売上への貢献は必須であるものの、初期段階ではまずは成功体験が必要です。いきなり敷居を上げるよりも、まずは組織間連携や各業務フローの整備を行う一貫として、目標を変化させていったほうが良いと考えます。
マーケティング組織の習熟度に応じたKPIの設定
小さく成功する「Quick Win」の積み重ね
立ち上げ期
商談数
中期
有効商談数
後期
パイプライン
理想
売上
立ち上げ期
KPI(*1):商談数
立ち上げ期は、まだマーケティングプロセスを含めて営業プロセスが不安定な状況です。まずは、フィールドセールスが接点を持っていない顧客層とコミュニケーションし、商談を創出しましょう。この段階では商談の「質」という意味では低いかもしれません。まずは新規リードの獲得→関係性維持・深耕→有望顧客発掘→商談創出のプロセスを組織として体験します。
(*1)KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標。企業や組織の目標を達成するために行う日々の活動の具体的な行動指標のこと。
中期
KPI:有効商談数
マーケティングプロセスを含めた営業プロセス変革、商談を創出してフィールドセールスと連携していくステージです。このプロセスが行えるようになりましたらいよいよ「質」への挑戦です。創出する商談の「質」を高めるために、フィールドセールスからのフィードバックを得ます。受注に結びつくリードや課題、デジタルアクティビティなど分析を深めていきます。
後期
KPI:パイプライン(*2)
商談の質を狙う活動が行えるようになってきたら、営業プロセス全体を俯瞰してボトルネックを改善していくステージです。まずは、自社の営業プロセスにおいて、リードの状況がどのようになっているか数字で把握します。
- ・認知・集客が不足しているのか(ウェブサイトのユニークユーザーやアクセス状況)
- ・実名化が不足しているのか(ハウスリストが枯渇してきている状況)
- ・関係性・深耕するリードが不足しているのか(メールの送信対象が不足している状況)
このボトルネックを改善するための施策を実施すると共に、売上予算(KGI)に対するマーケティング活動によって売上を創出した割合がn%とすべきか、というデータも合わせて収集していきます。
(*2)パイプライン:見込み客を受注に導くまでのプロセスを時系列で表したもの
理想
KPI:売上
マーケティング活動は、売上予算達成に向けて、一定の売上に貢献するものではなくてはなりません。いよいよあるべき姿の活動に進むステージです。フィールドセールスチーム、マーケティングチームで共通の売上数字達成を目的として、主にデジタルを中心としたマーケティング&セールスの総合的な活動となり、目標値は売上となります。
目的と目標を設定することで、マーケティング活動の方向性を明確にできます。また、効果測定を行う際にも役立ちます。ぜひ、貴社のマーケティング活動の状況に応じて目標を定めましょう。
BtoBマーケティングにおいては、自社の価値を理解することが重要です。自社の価値とは、顧客にどのような価値を提供できるのかということです。
自社の価値を理解することで、以下のメリットを得ることができます。
- ・顧客のニーズに応えるマーケティング施策を実施できる
- ・競合との差別化を図ることができる
- ・自社のブランドイメージを向上させることができる
自社の価値を理解するためには、以下の要素を検討しましょう。
- ● 自社の商品・サービスの特徴
- ・機能
- ・品質
- ・価格
- ・サービス
- ● 自社の商品・サービスの強み
- ・競合にない特徴
- ・顧客のニーズを満たす機能や品質
- ・競合より優れた価格やサービス
- ● 自社の価値を理解する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- ・自社の商品・サービスの特徴や強みを洗い出す
- ・顧客のニーズや課題を調査する
- ・競合のマーケティング施策を調査する
自社の価値を理解する方法
- ・自社の商品・サービスの特徴や強みを洗い出す
自社の商品・サービスの特徴や強みを洗い出すためには、以下の手順を踏みましょう。
- ・自社の商品・サービスの仕様やスペックを整理する
- ・自社の商品・サービスの強みを言語化する
- ・自社の商品・サービスの強みを競合と比較する
- ・顧客のニーズや課題を調査する
※関連記事:BtoB企業のデジタルマーケティング成功 を支える、「SWOT分析の基本とやり方」 とは?
顧客のニーズや課題を調査するためには、以下の手法を用いることができます。
- ・アンケート調査
- ・インタビュー調査
- ・フォーカスグループインタビュー
- ・デプスインタビュー
- ・競合のマーケティング施策を調査する
競合のマーケティング施策を調査するためには、以下の手法を用いることができます。
- ・競合のWebサイトやSNSを調査する
- ・競合のマーケティング資料を調査する
- ・競合のマーケティングイベントに参加する
BtoBマーケティングにおいては、自社の価値を理解することが重要です。自社の価値を理解することで、顧客のニーズに応えるマーケティング施策を実施することができ、競争優位を獲得できます。
BtoBマーケティングにおいては、ターゲット顧客を理解することが重要です。ターゲット顧客とは、自社の商品・サービスを購入し、利用してくれる企業や個人のことです。
ターゲット顧客を理解することで、以下のメリットを得ることができます。
- ・顧客のニーズに応えるマーケティング施策を実施できる
- ・顧客の購買プロセスを把握し、効果的なアプローチを行うことができる
- ・顧客との信頼関係を構築することができる
ターゲット顧客を理解するためには、以下の要素を検討しましょう。
- ● ターゲット顧客の属性
- ・業種
- ・企業規模
- ・担当部署・役職
- ・決定権の程度
- ・意思決定プロセス
- ● ターゲット顧客のニーズ
- ・商品・サービスの機能や品質に関するニーズ
- ・価格やサービスに関するニーズ
- ・購入に関するニーズ
- ● ターゲット顧客の課題
- ・抱えている課題
- ・解決したい課題
ターゲット顧客を理解する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- ・顧客調査を行う
- ・競合のターゲット顧客を調査する
- ・自社の営業や販売担当者の意見を参考にする
ターゲット顧客を理解する方法
- ・顧客調査を行う
顧客調査を行うためには、以下の手法を用いることができます。
- ・アンケート調査
- ・インタビュー調査
- ・フォーカスグループインタビュー
- ・デプスインタビュー
- ・競合のターゲット顧客を調査する
競合のターゲット顧客を調査するためには、以下の手法を用いることができます。
- ・競合のWebサイトやSNSを調査する
- ・競合のマーケティング資料を調査する
- ・競合のマーケティングイベントに参加する
- ・自社の営業や販売担当者の意見を参考にする
自社の営業や販売担当者の意見を参考にすることで、実際に顧客と接しているからこそわかる情報を得ることができます。
BtoBマーケティングにおいては、ターゲット顧客を理解することが重要です。ターゲット顧客を理解することで、効果的なマーケティング施策を実施し、顧客との信頼関係を構築することができるでしょう。
※関連記事:BtoBマーケティングで顧客理解を高めるためのペルソナ作成のコツと事例紹介
BtoBマーケティングにおいては、競合の分析も重要です。競合とは、自社と類似する商品・サービスを提供する企業のことです。
競合を分析することで、以下のメリットを得ることができます。
- ・自社の強みや弱みを客観的に把握することができる
- ・競合の優れている点や改善点を参考にすることができる
- ・競合に打ち勝つための戦略を立てることができる
競合を分析するためには、以下の要素を検討しましょう。
- ・競合の商品・サービスの特徴
- ・競合のマーケティング施策
- ・競合のターゲット顧客
競合を分析する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- ・競合のWebサイトやSNSを調査する
- ・競合のマーケティング資料を調査する
- ・競合のマーケティングイベントに参加する
競合を分析する方法
- ・競合のWebサイトやSNSを調査する
競合のWebサイトやSNS、マーケティング資料を調査することで、競合の商品・サービスの特徴やマーケティング施策を把握できます。
具体的には、以下のポイントをチェックしましょう。
- ● 競合の商品・サービスの特徴
- ・機能
- ・品質
- ・価格
- ・サービス
- ● 競合のマーケティング施策
- ・ターゲット顧客
- ・メッセージ
- ・チャネル
- ・予算
- ● 競合のターゲット顧客
- ・属性
- ・ニーズ
- ・課題
- ● 競合のマーケティング施策
- ・目的
- ・目標
- ・ターゲット
- ・予算
- ・スケジュール
このようにBtoBマーケティングにおいては、競合の分析も重要です。競合を分析することで、自社の強みや弱みを客観的に把握し、競合に打ち勝つための戦略を立てることができます。
BtoBマーケティング戦略を立てたら、次に施策の実行計画を立てましょう。実行計画とは、施策の目的や目標、ターゲット、予算、スケジュールなどを明確にしたものです。
実行計画を立てることで、以下のメリットを得ることができます。
- ・施策の進捗状況を把握し、軌道修正を行うことができる
- ・施策の効果を測定することができる
- ・社内外の理解や協力を得やすくなる
実行計画を立てる際には、以下のポイントを押さえましょう。
- ・施策の目的や目標を明確にする
- ・ターゲットを明確にする
- ・施策の内容を決める
- ・予算を決める
- ・スケジュールを決める
施策の目的や目標を明確にする
施策の目的や目標を明確にすることで、施策の方向性を定めることができます。また、施策の効果を測定するためにも、目的や目標を明確にしておくことが重要です。
施策の目的や目標を決める際には、以下のポイントを押さえましょう。
- ・マーケティング戦略の目的や目標を踏まえる
- ・ターゲットのニーズや課題を踏まえる
- ・自社の強みや弱みを踏まえる
ターゲットを明確にする
ターゲットを明確にすることで、施策のメッセージを誰に伝えるかを明確にできます。また、施策の効果を測定するためにも、ターゲットを明確にしておくことが重要です。
ターゲットを決める際には、以下のポイントを押さえましょう。
- ・マーケティング戦略のターゲットを踏まえる
- ・競合のターゲットを踏まえる
- ・自社の商品・サービスの特徴を踏まえる
施策の内容を決める
施策の内容を決める際には、マーケティング戦略の目的や目標、ターゲットを踏まえて、効果的な施策を検討しましょう。
施策の内容を決める際には、以下のポイントを押さえましょう。
- ・マーケティング戦略の目的や目標を達成するために必要な施策
- ・ターゲットのニーズや課題を解決するための施策
- ・自社の強みを活かせる施策
予算を決める
予算を決めることで、施策の実施範囲や内容を検討することができます。
予算を決める際には、以下のポイントを押さえましょう。
- ・マーケティング戦略の目的や目標を達成するために必要な予算
- ・ターゲットのニーズや課題を解決するために必要な予算
- ・自社の経営状況や財務状況を踏まえる
スケジュールを決める
スケジュールを決めることで、施策を計画的に実施することができます。
スケジュールを決める際には、以下のポイントを押さえましょう。
- ・施策の目的や目標を達成するために必要なスケジュール
- ・ターゲットのニーズや課題を解決するために必要なスケジュール
- ・自社のリソースや体制を踏まえる
施策の実行計画を立てることで、施策の進捗状況を把握し、軌道修正を行うことができます。また、施策の効果を測定することもできます。社内外の理解や協力を得やすくなるというメリットもあります。
施策の実行計画を立てる際には、上記のポイントを押さえて、効果的な施策を実施しましょう。
■ 施策ロードマップ設計シート(PowerPoint 40KB)
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次回は、「Webのアクセス分析がもたらすインパクト」についてお届けする予定です。
どうぞお楽しみに!
■過去のコラムは以下からご覧ください。
マーケティングコラム
*本記事は、2024年1月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。