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BtoB企業のデジタルマーケティング成功
を支える、
「SWOT分析の基本とやり方」
とは?

*本記事では、BtoB企業のマーケティング戦略を検討する際に参考にする分析の1つ、SWOT分析について解説します。

*こんな方にお勧めの記事です。

  • マーケティング部門のリーダー
  • マーケティング部門の担当者
  • 経営戦略の改善を望む方
  • マーケティング戦略の見直し、新規企画・立案を進める担当者
BtoB企業のデジタルマーケティング成功を支える、「SWOT分析の基本とやり方」とは?

BtoB企業がマーケティング活動の戦略策定を行う際、SWOT分析は一般的に用いられる分析手法の1つです。本記事では、これからマーケティング業務に携わる方々にもわかりやすく、BtoB企業がマーケティング領域でどのようにSWOT分析を有効活用できるかについて解説します。
SWOT分析の要点を理解することで、企業の強みや弱みを把握し、市場での競争優位性を築くための戦略策定を進めましょう。

SWOT分析とは?

目次

SWOT分析とは?

SWOT分析とは?

SWOT分析は、組織やプロジェクトの戦略的な評価手法であり、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字をとっており、これら4つの要素を分析します。この手法は組織の内外環境を整理し、強みを活かし、弱みを克服し、機会を生かし、脅威に対処する戦略的な意思決定を行います。

SWOT分析を行うタイミング

SWOT分析は、企業や組織が戦略を策定し、自身の状況を理解するために役立つツールです。適切なタイミングでSWOT分析を行うことが重要であり、以下のようなケースや時点で実施することが一般的です。

新規プロジェクトや事業立ち上げ時

新しいプロジェクトや事業を開始する際には、SWOT分析を行い、プロジェクトの成功要因や課題を洗い出します。これにより、戦略的な方針を確立し、リスクを最小限に抑えながら進めることができます。

重要な意思決定の前と戦略の見直し時

重要な経営判断や意思決定を行う前に、SWOT分析を実施することで、将来の影響や潜在的なリスクを考慮に入れることができます。これにより、よりリーガルな意思決定が可能となります。
また、企業は市場環境や競合の状況が変化するため、定期的な戦略の見直しが必要です。年次や四半期ごとなど、定められた周期でSWOT分析を行い、現状の強みや弱み、市場の機会や脅威を評価します。これにより、変化に対応した最適な戦略を採用できます。

新市場への進出、製品やサービスの変更時

新しい地域やセグメントに進出する場合、その市場におけるSWOT分析を行います。現地の文化や競合状況、法的な要因などを考慮し、成功のための適切な戦略を立てるのに役立ちます。そして既存の製品やサービスを改良したり新たなものに変える際、SWOT分析を実施したりすることで、市場への受容度や競合状況を評価できます。これにより、製品やサービスの戦略的な調整が可能です。

SWOT分析は柔軟で適用範囲が広いため、これらのケース以外でも適切なタイミングで実施することが重要です。企業が状況に応じて定期的にSWOT分析を行い、変化に適応することが戦略の成功につながります。

SWOT分析で重要なこと

SWOT分析で重要なこと

では、この分析で何が重要なのかを、さまざまな観点から考えてみましょう。

明確な目的設定と包括的な情報収集

SWOT分析を行う目的を明確に定義することが重要です。何を達成したいのか、どの部分に焦点を当てるのかを明確にすることで、効果的な分析が可能となります。また、分析のために必要な情報を包括的に収集することが重要です。企業の内外部の状況や競合他社の動向、市場のトレンドなどを十分に理解することが分析の質を向上させます。

多様な視点の参加者と、オープンで率直なディスカッション

SWOT分析には異なる視点からの意見が豊かな分析結果を生むことがあります。様々な部門やレベルの関係者を巻き込み、異なる視点からのフィードバックを得ることが有益です。さらに、SWOT分析はオープンかつ率直な議論が求められます。参加者が自分の意見を遠慮せずに表明できる環境を作り出し、本質的な強みや弱みを見逃さないようにします。

内外部環境のバランス

SWOT分析では企業の内部状況(強みと弱み)と外部環境(機会と脅威)のバランスを取ることが重要です。どちらかに過度に偏らないようにして、総合的な戦略を考えることが求められます。

具体的かつ実行可能な結論への落とし込み

SWOT分析の結果を具体的で実行可能な形にまとめることが重要です。抽象的なままでは行動に移しにくいため、具体的な施策や計画に繋げることが必要です。

定期的な見直しと更新

環境や市場は変化するため、SWOT分析は一度きりでなく、定期的な見直しや更新が必要です。変化に適応するために、定期的にリフレッシュすることが重要です。
これらのポイントを考慮しながらSWOT分析を行うことで、より有益な情報を得て、効果的な戦略策定に繋げることができるはずです。

SWOT分析の実施手順とやり方

SWOT分析の実施手順とやり方

つぎに、どのように分析を行えば良いのか、具体的にご紹介します。

SWOT分析の手順

1. データ収集
組織や対象の情報を集めます。
2. SWOTの要素の特定
強み、弱み、機会、脅威を明らかにします。
3.要素の評価
各要素について重要度や影響度を評価します。
4. 戦略の策定
強みを生かす戦略や弱みを克服する戦略、機会を生かす戦略、脅威に対処する戦略を考えます。
SWOT分析

強み (Strengths)の分析

SWOT分析の強みの分析は、組織やプロジェクトが持つ優れた要素やリソースを評価し、競争上の優位性を理解するプロセスです。組織はまず、競合他社に対して圧倒的に優位にある事業分野や,他社にはない独自の技術やノウハウを集積している中核となる事業ユニットや部門や特徴的なリソースを特定し、製品やサービス、ブランド、技術、従業員などに焦点を当てます。次に、これらの強みが市場でどれだけ差別化されているかを把握し、将来的な維持可能性も考慮します。強みの分析は戦略的なポジショニングを確立し、競争優位性を構築する基盤となります。

BtoB企業における強みの例

  1. 1. 高度な専門知識と技術力: 業界で高い専門知識が有り、最新の技術を駆使してクライアントに価値を提供できる。
  2. 2. 確立された顧客基盤: 長期にわたり一部の大規模クライアントとの強固なパートナーシップが築かれていて、安定した収益を生み出している。
  3. 3. 優れた顧客サービス: 迅速かつ効果的なカスタマーサポートを提供、クライアント満足度が非常に高い。

弱み (Weaknesses)の分析

SWOT分析の弱みの分析は、組織が克服すべき課題や不足を特定する重要なステップです。内部の効率低下やスキル不足、財政不安定性などを洗い出し、競合他社との比較を通じて市場での差別化の難しさを理解します。将来の拡大可能性や変化への対応力も評価し、弱みの分析を通じて改善が必要な領域を特定し、競争力を向上させる戦略を見つけます。

BtoB企業における弱みの例

  1. 1. 依存度の高いクライアント: 収益の大部分が大規模クライアントに依存しており、そのいずれかの離脱が影響を及ぼす可能性がある。
  2. 2. 新規市場進出の遅れ: 新興市場やデジタルプラットフォームへの適応が遅れており、成長機会を逃している。
  3. 3. 競合の激化: 類似のサービスを提供する競合他社が増加しており、価格競争が激化している。

機会 (Opportunities)の分析

SWOT分析の機会の分析は、外部環境や市場動向の変化を捉え、それを利用して組織の成長や成功に結びつけるプロセスです。新市場や顧客層の発見、技術進歩による製品開発、競合他社の弱点の活用、法規制の変更への適応、戦略的提携などが機会として挙げられます。これらの分析は将来の成長計画や競争上の優位性の構築に寄与し、変化する環境で組織が成功を収めるための基盤となります。

BtoB企業における機会の例

  1. 1. 新規技術の導入: 最新の技術やデジタルソリューションの導入により、新規市場への進出や既存クライアントへの付加価値提供が可能。
  2. 2. グローバル展開: 海外市場への進出や国際的なパートナーシップ構築により、事業の多角化と収益の拡大が見込まれる。
  3. 3. 顧客ニーズの多様化: 顧客の多様化するニーズに対応し、新たなサービスや製品の開発により市場シェアを拡大。

脅威 (Threats)の分析

SWOT分析の脅威分析は、組織が外部環境のリスクや課題を把握し、対処戦略を考える過程です。競合活動や市場飽和、価格競争、経済不安定性、技術進化による陳腐化、法規制変更、社会的変化、供給チェーンの中断などが脅威となります。組織はこれらのリスクに対処し、柔軟性を持ったビジネスモデルを構築し、変化する環境に適応する戦略を見つけ出す必要があります。

BtoB企業における脅威の例

  1. 1. 経済的な不確実性: 世界的な経済の不確実性や変動が、クライアントの投資意欲や支出に影響を与える可能性がある。
  2. 2. データセキュリティ: クライアントデータのセキュリティが脅威に晒されるリスクが存在し、信頼性に関する懸念が生まれる可能性がある。
  3. 3. 新興競合の台頭: 新たなプレーヤーやテクノロジースタートアップが市場に進出し、従来のビジネスモデルに挑戦している。
クロスSWOT分析でマーケティング戦略を立案する

クロスSWOT分析でマーケティング戦略を立案する

通常のSWOT分析(Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威))をさらに進化させたものがクロスSWOT分析です。この手法では、内部環境と外部環境をクロスさせ、異なる要素同士の相互作用を理解しやすくします。以下に、この分析の要点を簡単に解説しますので、ご参考ください。

1. 強みと機会(Strengths and Opportunities)

  - 組織やプロジェクトの強みを活かして、外部の機会にどのように対応できるかを考えます。

  - 強みを最大限に活かし、市場の機会を最大化する戦略を検討します。

2. 強みと脅威(Strengths and Threats)

  - 強みを保持しながら、外部の脅威にどのように対処できるかを検討します。

  - 強みを武器にして脅威に対抗する手段を見つけます。

3. 弱みと機会(Weaknesses and Opportunities)

  - 内部の弱みを克服し、外部の機会を活かす方法を模索します。

  - 弱みを克服することで、市場の機会を掴むための戦略を考えます。

4. 弱みと脅威(Weaknesses and Threats)

  - 弱みを克服し、同時に外部の脅威にどのように対処できるかを検討します。

  - 弱みを補強し、同時に脅威を最小化する戦略を策定します。

このように、クロスSWOT分析は、各要素の相互作用を考慮することで、より総合的かつ戦略的な意思決定を行うことが出来ます。組織やプロジェクトの状況に応じて、異なる組み合わせで分析を行うことが重要です。

BtoB企業のSWOT分析事例

以下は、BtoB企業のSWOT分析事例です。

A株式会社のSWOT分析

1. 強み (Strengths):

技術力とイノベーション: A社は最新の技術トレンドに敏感であり、イノベーションを重視している。これにより、高度な製品やサービスを提供できる。

  - 優れたカスタマーサービス: 顧客サービスは迅速で丁寧であり、問題解決能力が高い。顧客からの評価が非常に高い。

  - 戦略的パートナーシップ: A社は業界内で強力なパートナーシップを築いており、これが企業の成長に寄与している。

2. 弱み (Weaknesses):

  - ブランド知名度の不足: 競合他社に比べてブランド知名度が低い。市場において企業の存在感を高めるためには、ブランディングに対する投資が必要。

  - 新規市場適応の難しさ: 新しい市場に進出する際の柔軟性が不足しており、競合他社よりも新規市場でのシェア獲得が難しい状況。

  - デジタルマーケティングの最適化: オンライン広告やデジタルプレゼンスの最適化が不足しており、競争上のアドバンテージを生かしきれていない。

3. 機会 (Opportunities):

  - 新興市場への進出: A社は新興市場において需要の拡大が見込まれる。これに積極的に進出することで新たな収益源を確保できる。

  - デジタルマーケティングの強化: ソーシャルメディアやオンラインプレゼンスの充実により、新たな顧客層の獲得が可能。Web広告への投資を増やし、効果的なマーケティングを展開することで市場シェアの拡大が期待できる。

  - 業界内の新技術の取り入れ: 業界内での新技術の採用により、製品やサービスの差別化が可能。市場での先行者利益を追求することで競争力を向上させる。

4. 脅威 (Threats):

  - 競合の激化: 技術分野において競合が激化しており、他社からの競争プレッシャーが増大している。

  - 法規制の変更: 政府の法規制が変わる可能性があり、これにより事業に対する新たな制約やコンプライアンスの要件が生じる可能性がある。

  - 急激な技術の進化: 技術の急速な進歩に追いつくことが難しく、既存の製品やサービスが時代遅れになるリスクがある。

これらのSWOT分析を通じて、A社は自社の強みを最大限に生かし、弱みや脅威に対処する戦略を検討し、機会を最大限に生かす施策を考えることが期待されます。

今後の展望

今後の展望 
~SWOT分析を未来のステップへの手助けに~

このように、SWOT分析は、組織やプロジェクトが自らのポジションを見つめ、進むべき方向を模索するツールでもあります。内部の良い部分(強み)や改善が必要な点(弱み)、外部でつかめるチャンス(機会)や気をつけなければならない課題(脅威)を整理します。
これらをクロスさせると、新しいアイディアや可能性が浮かび上がります。強みを生かして新しい機会を追い求めたり、弱みを補強しながら課題に立ち向かったりすることで、より柔軟で前向きな方針が見つかるかもしれません。
SWOT分析を、未来へのステップを踏む手助けとして、心強い味方として、活用してみると良いかもしれませんね!

次回は、ペルソナ作成のコツと事例をご紹介します。どうぞお楽しみに。

■過去のコラムは以下からご覧ください。
Vol.1 オンラインイベント開催、成功の秘訣とは?
Vol.2 BtoB企業にとってのマーケティング戦略とは?
Vol.3 警視庁も導入した「メタバース」の最新動向とは?
Vol.4 Webサイトのセキュリティ、大丈夫?

*本記事は、2023年12月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。

今後の展望

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