マーケティングコラム
母集団形成が上手くいく企業は何が違う?
採用戦略を立てる5つのステップ
本記事では、母集団形成が上手くいかない背景を整理し、採用活動全体を見直すための「採用戦略の立て方」を5つのステップで解説します。
こんな方にお勧めの記事です。
- 採用担当者

採用市場の競争が激化する中、「求人広告を配信しても応募が集まらない」、「予定していた採用人数を確保できない」といった課題に直面する企業が増えています。採用活動に使用する媒体や求職者のスカウト施策を見直しても状況が改善しない場合、その原因は個々の施策ではなく、母集団形成そのものが上手くいっていないのかもしれません。母集団形成を改善するためには、場当たり的な施策ではなく、採用戦略の立て方そのものを見直すことが重要です。
母集団形成が上手くいかない原因は、採用戦略の立て方や設計に課題があるというケースが多く見られます。採用戦略が曖昧なまま施策を実施しても、期待する人材と出会えず、採用活動が長期化する上に予定していた人数を確保できないという最悪の状況に陥ります。
本記事では、採用が計画通りに進まない背景を母集団形成の視点から整理し、成果につなげるための採用戦略を立てる5つのステップと、実践時に押さえておきたいポイントを解説します。
1.採用が計画通りに進まない背景にある、母集団形成の課題
少子高齢化の進行により労働人口が減少する中、採用市場は長期的に売り手市場の状態が続いています。求職者に対する求人の競争は年々激しさを増しており、企業間の採用活動は「人を選ぶ側」から「人に選ばれる側」へと立場が変わりました。そのため、従来と同じ採用手法や進め方では計画通りに人材を確保することが難しくなっています。
実際に、採用予定数に対する充足状況を見ても、多くの企業が採用活動に苦戦している実態がうかがえます。以下の調査結果からは、2026年卒の採用活動において、採用予定数に対して100%に達していない企業が60%以上を占めていることがわかります。
採用予定数の充足率(前年比)(n=301)
![[イメージ]採用予定数の充足率(前年比)(n=301)](../../common/img/marketing-guide/2026/202604_35/img02.png)
採用意欲はあるものの、計画していた人数を確保できていないという企業が多数派であるというのが実態です。
このような状況は、求人媒体への掲載や企業説明会の実施、採用サイトでの情報発信といった施策を行っていても、母集団を十分に形成できず、選考に進む候補者数が不足しているケースが多くの企業で起きていることを示しています。
さらに注目すべきなのが、母集団形成の「質」と「量」の双方に対する企業の評価です。
母集団形成の状況に対する満足度を見ると、「質・量ともに満足している」と回答している企業は、2025年卒・2026年卒・2027年卒いずれの年次においても20%以下にとどまっています。
つまり、約80%の企業は母集団形成に何らかの不満を抱えているということになります。
内訳を見ると、「質・量ともに不満」という回答が特に多く、母集団形成の段階で多くの企業がつまずいていることが明らかです。
母集団形成の状況に対する満足度(n=301)
![[イメージ]母集団形成の状況に対する満足度(n=301)](../../common/img/marketing-guide/2026/202604_35/img03.png)
- 引用元 :株式会社キャンパスサポート(URL:私たちは、学生の「学びと成長」を応援しています。 - CampusSupport)
「2026年~2028年卒採用活動に関するアンケート」集計結果を発表 | 株式会社キャンパスサポートのプレスリリース
(外部サイトにリンクします) - 調査期間:2025年10月15日(水)~11月14日(金)
- 有効回答数:301社
このように、採用が計画通りに進まない背景には、母集団形成が十分に機能していないという共通の課題があります。そして、その原因は個々の施策の良し悪しではなく、採用活動全体をどのように設計しているか、すなわち採用戦略をどのように立てているかにあります。
計画通りに人材を確保するためには、場当たり的に施策を追加するのではなく、母集団形成を前提とした採用戦略そのものを見直すことが不可欠です。次章では、こうした課題を踏まえ、母集団形成を安定させるために押さえておきたい採用戦略の立て方を5つのステップに分けて解説していきます。
2.採用戦略の立て方|失敗しないための5つのステップ
採用戦略という言葉は広く使われていますが、戦略の立て方は企業によってさまざまです。実際には、手順が細かく分かれすぎていたり、フレームワークをなぞるだけで実践につながらなかったりするケースも少なくありません。
本章では、母集団形成を安定させることに焦点を当て、採用戦略を立てる際に特に重要となる考え方を5つのステップに整理して解説します。すべてを網羅するのではなく、「計画通りに人材を確保するために、どこを押さえるべきか」という観点から、実務に落としやすい形でまとめています。
ステップ1 事業・組織課題から「なぜ採用活動を行うのか」を明確にする
採用戦略を立てる際、最初に行うべきなのは「何人採るか」や「どんな職種を採るか」を決めることではありません。重要なのは、「なぜ採用活動を行うのか」を事業や組織の課題から明確にすることです。
例えば、事業拡大のためなのか、特定領域の技術の専門性を補強するためなのか、あるいは将来を見据えた組織づくりなのか。この目的が曖昧なまま採用を進めると求める人物像や採用基準がぶれ、結果として母集団形成も不安定になります。
採用は目的ではなく、事業課題を解決するための手段であるという前提に立ち、採用の意義を言語化することが第一歩です。
ステップ2 市場と競合を分析し、現実的な採用ターゲットを定める
次に行うべきは、採用ターゲットを定めることです。ここで注意したいのは、「理想的な人材像」を描くだけでは不十分だという点です。
採用市場には競合企業が存在し、同じ人材を複数の企業が奪い合っています。その中で企業がアプローチできるのは、市場に実在していて、自社を選ぶ可能性がある人材です。
競合企業がどのような条件や方法で人材を集めているのかを把握した上で、自社の魅力がなにかを見極め、現実的なターゲット像へと落とし込むことが重要です。このステップを省くと、母集団が集まらない、あるいは集まっても自社と求職者の間でミスマッチが多いといった問題が発生しやすくなります。
ステップ3 自社の強みを活かし、母集団形成の接点を戦略的に設計する
母集団形成において最も重要なのが、この接点設計のステップです。
多くの企業では、求人媒体、スカウト、説明会、SNSといった施策を個別に検討しがちですが、本来は候補者との接点をどのような流れで設計するかという視点で見る必要があります。
候補者は、企業を知り、理解し、共感したうえで応募に至ります。そのため、自社の強みや魅力を整理し、「どの接点で、何を伝えるのか」を戦略的に設計する必要があります。
入社後の待遇や募集職種などの条件面だけでなく、事業の意義やキャリア形成の環境、働く人や社内の雰囲気といった要素をどの媒体やタイミングで求職者へ届けるかによって、母集団の質は大きく変わります。自社の強みを活かした接点設計ができていない場合、施策を増やしても応募者は増えません。
ステップ4 採用戦略を現場で実行できる形に落とし込む
採用戦略があっても、母集団形成が上手くいかないケースは少なくありません。
その原因の多くは、採用戦略が採用担当者だけしか理解しておらず、現場に共有されていないことにあります。
採用戦略は、求人広告の原稿、採用サイトの掲載コンテンツ、企業説明会の内容、面接でのコミュニケーションなど、実際の採用活動に落とし込まれて初めて機能します。現場の面接官、Web制作担当部門、イベント担当部門などの関係者と共通認識を持ち、一貫したメッセージを届けられる状態をつくることが重要です。
戦略を「考えるだけ」で終わらせず、運用できる形に「落とし込む」ことが母集団形成を安定させる鍵となります。
ステップ5 採用活動の結果をもとに採用戦略をアップデートする
採用戦略は、1回立てたら終わりではありません。採用活動を通じて得られた結果をもとに、戦略そのものを見直していくことが重要です。
応募数や応募者の質、選考通過率、内定承諾率、入社後の離職率など、採用活動全体の結果を振り返ることで、どこに課題があるのかが見えてきます。
重要なのは、施策単位での改善にとどまらず、戦略レベルで修正する視点を持つことです。例えば、応募数が伸びない場合はターゲット設定や接点設計が適切だったのか、質にズレがある場合は自社の強みや訴求内容が正しく伝わっていたのかといった観点で振り返る必要があります。
採用活動の結果をしっかりと分析し、その内容を次の採用戦略に反映させていくことで、母集団形成は徐々に安定していきます。市場や競合環境が変化し続ける中で、採用戦略をアップデートし続ける姿勢こそが、計画通りに人材を確保できる土台となるのです。

3.採用戦略を成果につなげるために押さえておきたい実践ポイント
採用活動で成果を出している企業に共通しているのは、採用戦略を実践に落とし込むための考え方を整理していることです。
重要なのは「何をするか」ではなく、「なぜそれをやるのか」、「誰に向けた取り組みなのか」を明確にすることです。
採用戦略を成果につなげる上では、次の3点が欠かせません。
- 誰と出会いたいのか(ターゲットの明確化)
- 何を伝えるのか(メッセージの設計)
- どこで、どのように出会うのか(求職者との接点の設計)
これらが整理されないまま施策を増やしても、応募数や志望度の改善にはつながりにくいのが実情です。
この章で紹介する事例は、こうしたポイントを踏まえて採用戦略を再設計し、応募の質・量に変化を生み出したケースです。
まず、とあるIT系企業では、「成長できる環境」、「若手が活躍できる」といった従来の訴求を見直し、働くリアルや自社のカルチャーを発信するようにしました。挑戦するカルチャーを体感できるコンテンツ設計により、「自社のあり方を学生に共感してもらう」という採用ブランディングの本質を捉え、量より質を重視した採用戦略を設計しました。
その結果、短期的な魅力に惹かれる層は減ったものの、価値観に共感した応募者が増え、志望度の高い母集団形成につながっています。
- 出典:株式会社ワンキャリア
採用戦略の成功事例10選|成功のポイントやフレームワークも解説 | コラム | 新卒採用ならワンキャリア【採用ご担当者向け】(外部サイトへリンクします)
次に、とある広告会社では大手就活ナビ中心の採用に限界を感じ、「おもしろい発想を持った学生と出会いたい」という想いから採用戦略を転換しました。
社員や内定者によるリアルな発信を開始し、気軽に対話ができるミートアップを開催し、学生との接点をより自然に築ける仕組みづくりにも注力しました。学生の共感を呼びやすい自然体のコンテンツが生まれたことで、新卒採用での成果につながりました。
- 出典:ウォンテッドリー株式会社
採用戦略の成功事例9選|採用広報が上手い企業の工夫とは? - Wantedly(外部サイトにリンクします)
さらに、とある鉄道会社では、鉄道事業以外にも幅広い事業を展開しているにもかかわらず、「鉄道」のイメージが先行しすぎているという課題とコロナ禍で学生の就活の仕方が変わり、接点を持つことが難しくなったという課題を抱えていました。
そのため、まちづくりに興味がある学生に向けたイベントに参加したり、他業界の企業と合同説明会を実施したりすることで、自社の事業の幅広さや総合職のキャリアの多様性を学生に伝えることに成功しました。その結果、「鉄道会社は堅いイメージがあったけど、この企業ならやりたいことに挑戦できる」と学生の認知を変えることができ、熱い想いを持ってエントリーしてくれる求職者を増やすことに成功しました。
この事例は、単なる応募者の増加ではなく、質の高い母集団形成を実現した好例といえます。
- 出典:株式会社ワンキャリア
新卒採用における母集団形成の方法10選!実際の成功事例も解説 | コラム | 新卒採用ならワンキャリア【採用ご担当者向け】(外部サイトにリンクします)
最後に、弊社が採用活動を通して得た気づきをご紹介します。
弊社が採用戦略を見直した際に、母集団形成に最も大きな影響を与えたのは採用支援サービスを活用したことでした。中小企業にとって、自社の採用サイトだけで十分な母集団を形成するのは簡単ではありません。誰もが知っている大企業クラスの知名度がなければ、学生が自発的に社名で検索し、サイトを訪問してくれる確率は高くないというのが現実です。
一方で、採用支援サービスには、就職活動への意識が高い学生が多く登録しています。
そうした場で自社の存在を知ってもらい、考え方や魅力を伝えたうえでスカウトを行うことで、限られたリソースの中でも効率的に母集団を形成できると感じています。
採用戦略を見直し、以前よりも多くの学生と接点を持つことができた背景には、弊社と相性のいい採用支援サービスを選定し、戦略的にスカウト活動を行えたことがあったと考えています。
どのサービスを使うか、どのような学生と、どこで接点を設けるかといった点も、採用戦略を考えるうえで重要な要素の一つです。
また、採用支援サービスによる伴走型のサポートも大きな支えとなりました。
採用のプロとしての視点や、学生に近い立場だからこそ把握している最新の動向、他社の採用事例や工夫点などを知ることで、弊社の施策を検討する際のヒントを数多く得ることができました。
こうした採用支援サービスの活用に加えて、採用サイトの改善や採用動画の制作といった、企業理解を深めるためのコンテンツ整備も有効な手段だと考えています。自社の強みや価値観を魅力的かつリアルに伝えるために、こうしたコンテンツ制作をプロの力を借りて行うことも採用戦略を実践に落とし込むための選択肢の一つです。
さらに、選考に参加した学生へのアンケート結果から、若手社員との座談会や会社説明会を通じて、「社員の対応や雰囲気がとてもよかった」といった声が多く寄せられています。
このことから、母集団形成においては学生を集めることだけでなく、接点の中で「会社の雰囲気」や「この会社で働く自分の姿」を具体的に想像してもらうことが応募につながることを実感しました。
4.まとめ
応募者不足に直面すると、多くの企業は「新しい採用媒体を使う」、「説明会やイベントを増やす」といった施策レベルの改善に目を向けがちです。
しかし、本記事で見てきたように採用活動で計画通りに人材を確保するためには場当たり的に施策を追加するのではなく、母集団形成を前提とした採用戦略そのものを見直すことが不可欠です。
どんな価値観や想いを持つ人材と働きたいのか、求職者に伝えたいメッセージをどんな形で伝えるのか、その想いが届く接点をどこに設計するのかなどが明確になってはじめて、採用施策やコンテンツが意味を持ち、応募者の「量」だけでなく「質」にも変化が生まれます。
採用戦略は、1度設計して終わりではありません。自社がどんな人材と出会いたいのかを言語化し、その想いが正しく届いているかを確認しながら、少しずつ磨き続けていくものです。
戦略が整理されることで、採用活動が場当たり的な対応から意図を持った取り組みへと変わります。
求めている人物像に合った人材を確保できるように、採用戦略を見直してみませんか?
※本記事は、2026年4月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。






