マーケティングコラム

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警視庁も導入した「メタバース」の最新動向とは?

*本記事では、BtoB企業のマーケティングにおいて知っておいた方が良い、メタバースの最新動向について、解説しています。

*こんな方にお勧めの記事です。

  • 営業部門、技術部門のリーダー
  • 営業、技術、マーケティング部門などの担当者
  • 最新技術動向に関心のある方
  • デジタル変革を進める担当者

近年、デジタルテクノロジーの進化は私たちの生活や働き方、そして遊び方にも革命をもたらしています。特に、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術は、メタバースと呼ばれる新たな領域を生み出す原動力となっています。そして、現実世界とデジタル世界が重なり合う没入型のネット環境で、アバターなどによる他者とのコミュニケーション、エンターテインメント、ビジネス、教育活動などが出来、大きな可能性を秘めているメタバースも大変注目されています。
本記事では、メタバースにおける最新動向や事例、その未来などについてご紹介します。

市場概況

メタバースの利用状況について

もともとはサイエンスフィクションの世界で使われていた用語のメタバースですが、まずは、最近の傾向を押さえたいと思います。以下の調査によると、メタバース利用経験者は全体の25% 特に男性40代、女性10~20代の利用が拡大しています。

メタバースの利用状況について

利用用途1位は男女ともに「ゲーム」。男性は利用用途が幅広く拡大し、女性は「コミュニケーション」利用が大幅に増加、約4割がメタバースを継続して利用し、男性20~40代は半数以上が「週1回以上」利用へ増加、という結果となっていました。

メタバースの利用状況について

また、利用するプラットフォームは、Fortnite(フォートナイト)が41%、ZEPETO(ゼペット)VRChat(ブイアールチャット)が30%となっており、トップ5の中では、割合だけでなく、昨年と順位も変わるなど、大きな変化が表れています。

調査結果(出典元:Cotra/トランスコスモス株式会社 運営)
https://www.transcosmos-cotra.jp/report/usage-of-metaverse_consumer-survey-2023#i-2(外部サイトにリンクします)

データをもとに考える

今回の記事は、メタバースに関わるさまざまなワードや情報を、データとしてお伝えします。メタバースに取り組もうとしている際に課題がある方は、ぜひご参考にしてみてください。

技術的進化:

VRやAR技術は着実に進化を遂げており、高品質なグラフィック、リアルタイムのインタラクション、そして低遅延の通信技術がこれを支えています。5Gや将来の6Gネットワークは、メタバースにおけるリッチな体験を実現するための基盤を提供します。クラウドコンピューティング、AI、マシンラーニングもメタバースの発展を促進しており、これらの技術によって、ユーザーの振る舞いや好みを学習し、個別化された体験を提供することが可能になっています。ShopifyやAmazonなどのプラットフォームがARを使って製品のプレビューを提供、Eコマースを拡大させています。また、Microsoft HoloLensやMagic LeapといったARヘッドセットも進化し、よりリアルなAR体験が提供されるようになっています。

産業界、教育、医療分野における応用:

各業界はメタバースの潜在力を活用し始めています。ファッション業界ではバーチャル試着室が登場し、小売業界ではバーチャルショッピングモールが顧客に新しいショッピング体験を提供しています。
教育分野では、教育機関や企業がVRを使用して、没入型の学習体験を提供、仮想空間での授業が可能になり、生徒たちが地理的な制約を超えてバーチャルラーニングとして学習する機会を得ています。さらに、医療や工業分野ではVRを利用したトレーニングが行われており、より効果的な習得を促進、スキルトレーニングに寄与しています。

ゲームとエンターテインメント:

ゲーム業界はメタバースの最前線にあります。多くのオンラインゲームは既にメタバースの概念を採用、プレイヤーは自身のアバターを通じて仮想世界での生活を楽しんでいます。
エンターテイメントでは、映画のプレミアやライブコンサートやイベント、オンライン展示会などがメタバース内で定期的に開催され、実際にそこにいるかのような体験が可能になっています。

ソーシャルメディアとの統合:

Facebookが社名をMetaに変更し、自社のビジョンをメタバースに集中させることを宣言したのは象徴的な出来事でした。今後、ソーシャルメディアプラットフォームはメタバースとの統合を深め、ユーザーが仮想空間で友人と交流したり、新たな人々と出会ったりする場となるでしょう。

仮想経済や仮想不動産の拡大:

メタバース内での経済活動も活発化しています。バーチャルグッズの売買、デジタルアートの取引、さらには仮想通貨やブロックチェーンを利用した所有権の確立などが行われています。
DecentralandやThe Sandboxのようなプラットフォームで、仮想土地が実際の財産として取引されています。これらは実際の経済活動と密接にリンクしており、新たなビジネスモデルの創出に寄与しています。

社会的影響と規制(プライバシーとセキュリティ):

メタバースの発展に伴い、プライバシーとセキュリティの問題が浮上しています。倫理と行動規範の観点では、個人データの保護、アイデンティティの盗難防止、ハラスメントや不正行為への対策が急務となっており、デジタル資産の所有権、知的財産権、ユーザー間の対話に関する法的枠組みも模索されています。
メタバースのプラットフォームは、ユーザーの信頼を獲得し維持するために、これらの問題に積極的に取り組む必要があります。

データをもとに考える

ここがポイント!

情報技術の進歩のスピードが加速される中、上記のように官民どちらも、色々な企業や団体と連携し、さまざまな取り組みが行われています。ビジネスや教育に生かしたり、社会との繋がりを深めたりするためにも、どのような事例があるのかを知り、情報をアップデートしておくことがポイントです。

最近のトピックスをご紹介します。

警視庁も導入しているメタバース

2023年9月、メタバース空間(バーチャル秋葉原)内に警視庁サイバーセキュリティセンターを開所し、広報啓発エリアを公開しました。本センターはインシデント対応訓練(2024年1月中旬公開予定)や都民向けにサイバーセキュリティに関する広報啓発活動に活用する予定とのこと。本センター内では、警視庁で作成したサイバーセキュリティに関する動画を視聴することができ、サイバーセキュリティの意識を高めることができます。
実際にアクセスしてみると、用意されたアバターを選んでニックネームをつけ、簡単に参加することができました。
サイバーセキュリティ以外の振り込め詐欺防止対策などの広報動画について、一部視聴することもでき、このメタバース空間を、幅広い年齢の方々が体験できるようになっていました。
警視庁は、各種犯罪の防止にも役立て欲しいとのアナウンスをしています。

警視庁も導入しているメタバース
警視庁も導入しているメタバース
警視庁も導入しているメタバース

警視庁の告知
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/cyber/joho/virtual.html(外部サイトにリンクします)
バーチャル秋葉原
https://www.virtual-akihabara.com/(外部サイトにリンクします)

東京都の取り組み(教育):バーチャル・ラーニング・プラットフォーム

東京都には、不登校の児童・生徒が2万7千人、日本語指導が必要な児童・生徒が4千人強いる(2022年度)。東京都では2023年9月から、3Dメタバース内でアバターを使って活動できる場の提供を開始しました。東京都の狙いは、児童の参加意欲や学力の向上を図ると同時に、人的リソースの効率的な運用とのこと。今後の活用拡大が期待されます。

バーチャル・ラーニング・プラットフォーム

https://vlp.metro.tokyo.lg.jp/(外部サイトにリンクします)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/09/22/12.html(外部サイトにリンクします)

企業の取り組み(コンソーシアムと、XR観光プラットフォーム)

日経メタバースコンソーシアムでは、メタバースを新しい社会インフラへと成長させていくことを念頭に、様々な企業と連携し、日経メタバース未来委員会を開催したり、関連記事をまとめて発信したりしています。
2023年10月5日に開催された第2回未来委員会では、大学の有識者を座長とし、総務省や国土交通省、民間企業などの登壇者を招き、少子高齢化と人口減少、地域活性化に対してメタバースがどのような関わりを持ち、解決への導く力となり得るのか、日本の社会課題に対して意見交換が行われました。地域の活性化に関連した事例として、以下も紹介されていました。

ストリートミュージアム(ダウンロード数20万以上)

国内最大級のXR観光プラットフォームアプリケーション。史跡を復元したVRなどを観光資源にして地域活性化につなげることを目的に、現在の風景に、今はなき往時の姿の天守閣などのVR/AR映像を重ねて観られる新しい鑑賞体験や、音声ガイドを組み合わせた謎解きツアーが実施されています。TOPPANホールディングス株式会社によると、本アプリは情報発信メディアとしても活用され、インバウンドの行動誘発や起爆剤にもなっているとのこと。

*参考:2023年11月17日 日本経済新聞 特集面および日経メタバースプロジェクト(日経BizGate/Nikkei.com)
https://bizgate.nikkei.com/series/BSH11000/(外部サイトにリンクします)
*メタバースプロジェクト
https://bizgate.nikkei.com/series/BSH11000/(外部サイトにリンクします)
*ストリートミュージアム
https://www.streetmuseum.jp/(外部サイトにリンクします)

東芝未来科学館AR

東芝未来科学館(外部サイトにリンクします)では、AR技術を活用した体験型展示を行っています。
展示されているジオラマにアプリ「東芝未来科学館AR」がインストールされているスマホをかざすと、なんと!スマホ上に映像が浮かび上がり、東芝の技術が各所で活躍している様子が体験できます。

東芝未来科学館AR
「東芝未来科学館AR」の画像

また、展示物の情報を子どもから大人、技術者の方などに向け、展示物の(実物の大きさ、動いている)様子について、ARを活用し、わかりやすく見ることができるアプリ「情報提供システム」があります。

詳細はこちら(外部サイトにリンクします)

今後の展望

このように、メタバースは、現実世界を模倣するだけでなく、新しい形の社会を構築する可能性を秘めています。異なるメタバースプラットフォーム間での相互運用性が課題となっていますが、技術的な進歩と社会的な要望により、その姿は大きく変わっていくことでしょう。
メタバースは単なるトレンドではなく、人々が交流し、創造し、学び、そして楽しむための新たなプラットフォームとして進化し、BtoB企業にとって認知度の向上から具体的なビジネスチャンスを得る機会として、注目しておく重要なプラットフォームの1つ、と言えることがわかっていただけたかと思います。

次にお届けする<シリーズ4>では、Webプラットフォームについて考えてみましょう。
お楽しみに!

■過去のコラムは以下からご覧ください。
Vol.1 オンラインイベント開催、成功の秘訣とは?
Vol.2 BtoB企業にとってのマーケティング戦略とは?

メタバース

*本記事は、2023年11月に作成、公開しました。記事内における社名、組織名、役職、数値などは当時のものです。

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