マーケティングコラム

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周年記念事業による、マーケティング効果とは?

本記事では、BtoB企業の周年記念事業による、マーケティング効果を具体例とともに解説します。

以下のような方々にご紹介する記事です。

  • 総務や企画部門の方
  • Webやイベントの担当者
  • 企業の変革、コーポレートコミュニケーション部門の方
周年記念事業による、マーケティング効果とは?

企業においては、創業○○年、商品発売○周年というように、周年記念に合わせてイベントを開催したり、周年記念事業として取り組んだりすることがあります。これらは、「ステークホルダーへの感謝の表明」、「ブランドイメージの向上」、「成果の振り返りと成長の確認」、「組織や社員の結束力を強化」などの役割を果たすことにつながります。また、企業ブランドの再構築や新しいイメージ作りを行うなど、社内外に変化を起こす絶好の機会としても周年の節目が重要視されています。
今回は、周年記念事業がもたらすマーケティング効果および周年記念事業を企画する際のポイントについてご紹介します。

市場概況

周年記念事業の例として、2023年4月に、千葉にあるエンターテイメント施設が40周年を迎え、記念イベントの開催や記念グッズの販売などを行ってメディアやSNSを賑わせていたのは記憶に新しいことだと思います。このように、○○周年という言葉を耳にすることはありますが、一般的には創業や設立などの記念日から1年間、または記念日を迎える年度を周年として対応している企業が多いようです。

ここで、企業に勤めている1,450名のビジネスパーソンに「勤務先で周年イベントを行ったことがあるか」というアンケートの調査結果(※1)をご紹介します。

[イメージ]勤務先で周年イベントを行ったことがあるか

● 6割以上の人が勤務先で周年イベントを実施経験あり

上記のグラフでは、「10年以内に実施したことがある」が47.6%、約半数が10年以下の頻度で周年記念事業を行っていたということがわかります。また、10年以上前の実施も含めると、実施経験がある企業は64.2%という結果になりました。

[イメージ]実施したことがある(創業年数別、SA)

また、上記グラフ(※1)では、イベントを実施したことがあると回答した企業を創業年数別に見てみると、創業年数が長い企業ほど周年イベントの実施経験が多いという相関性があり、創業100年以上の企業では実施率が88.4%と高い割合になっています。

データをもとに考える

このような調査結果から、周年記念事業を実施したことがある企業が多いことがわかります。また、周年記念事業を行うかどうかには、その企業の歴史の長さが大きく関わっていることが読み取れます。特に創業からの歴史が長い企業ほど、節目の年に記念事業を実施する割合が高いということが明らかになっています。長い歴史を持つ企業は、自社のアイデンティティーと伝統を形作る大切な要素として周年を捉え、それを祝福することにより、社内の結束を高め、ブランドイメージを向上させる機会にしているのではないでしょうか。

長い歴史を持つ企業は、社会的信頼やブランドの構築が進んでおり、周年記念事業を通じて、顧客や関係者とのつながりを深める機会としているとも考えられます。その一方で、歴史の浅い企業では周年という節目を祝う文化がまだ育っていないことや、予算の制約、その他の経営上の優先事項があることなどから、周年記念事業を実施していない割合が高くなっている可能性があります。

これらのことから、企業は周年記念事業を通して、自社の従業員や顧客、社会とコミュニケーションを取ることで、組織の結束力強化やブランドイメージの向上を図っているということが言えると思います。

[イメージ]データをもとに考える

ここがポイント!

まず、周年記念事業ではどのようなことを行い、それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?

① イベントの開催
記念式典やイベントの開催は周年記念事業の代表的な施策です。社内向けに実施することで、従業員のチームワーク強化やモチベーション向上、社外向けに実施すると、顧客や関係者とのつながりを強化することができます。現在は、テレワークを導入している企業もあるので、オンラインでの開催やリアルとオンラインのハイブリッドイベントも増えています。
マーケティングコラムvol.10:オンラインイベント開催、成功の秘訣とは?
② 特設サイトの制作
周年記念のコンセプト訴求や記念イベントの告知のために専用のWebサイトを制作することは、企業の理念や歴史を社内外に伝えるのに効果的です。Webサイト内にイベントの詳細やお申し込みフォームを掲載することで、イベントへの参加人数を増やすことにも利用できます。
③ 記念ロゴの制作
記念ロゴを社内外のコミュニケーションに使用することで、周年記念を特別なイベントとしてアピールすることができます。また、企業の理念やビジョンを表現することで、組織の士気を高めます。
④ 周年記念誌・社史の発行
周年記念誌は、周年という節目にこれまでの軌跡や出来事などを記録するための書籍です。
社史は、会社の歴史を中心に記したもので、自社の歴史を残す資料としての意味合いが強いです。
自社の歴史や成果を振り返ることで、社内の結束を強化することができます。
⑤ 記念動画の制作
トップメッセージや企業の歴史を映像でまとめたブランドムービーを制作し、特設サイトやSNSでの公開、イベントでの上映などの用途に使用します。就職活動中の学生向けに企業の歴史や文化を理解してもらう目的で活用される場合もあります。
⑥ 記念グッズの制作
マグカップやエコバッグ、クリアファイルなどを制作して関係者へ配布、他のブランドやアーティストとのコラボグッズを販売するなどの、周年記念グッズの制作も日頃の感謝を伝えることや新たなブランドイメージの創出に効果的です。

続いて、周年記念事業を成功に導くためのポイントをご紹介します。

① 目的を明確にする
周年記念事業を企画する際には、目標を明確にすることが重要です。自社の歴史や紹介だけではなく、顧客への感謝を示すことも大切な目的です。さらに、ブランドイメージや顧客ロイヤリティの向上を目指すなどの具体的な目的を設定し、達成に向けた戦略を立案することが重要です。
② 組織的な協力
周年記念事業の準備には、組織的な協力が必要です。そのため、担当者だけではなく、それぞれの部署や関係者が連携を図り、準備を円滑に進めることが重要です。イベントを開催する場合は、当日の運営にも十分な人数を確保し、イベントがスムーズに進むようにしましょう。
③ 効果的な情報発信と宣伝活動
周年記念事業の成功には、情報発信と宣伝活動が欠かせません。特設サイトやSNS、メールなどのオンラインツールを活用して、イベントの事前告知や宣伝活動を行い、周年記念事業の魅力を高めることが大切です。

以上のように、周年記念事業を実施する際には、目標を明確にし、組織的な協力体制を築いたうえで準備に取り組み、イベント開催などに向けた情報発信と宣伝活動に取り組むことが、成功の秘訣です。
そして、周年記念事業は、社内外でのコミュニケーションの活発化や信頼関係の構築、組織の結束力強化、ブランドイメージの向上などのメリットにつながるといえるのです。

[イメージ]ここがポイント!

今後の展望

このように、周年記念事業は、記念イベントやコンテンツ制作などを通して、顧客や従業員をはじめとするステークホルダーの方々に、日頃の感謝を伝え、信頼関係を深める機会です。自社の歴史や成果を振り返ることは、企業理念や文化の再認識やモチベーション向上につながり、組織に一体感を与えます。さらに、周年という節目を迎えたことをきっかけにして、新しいビジョンを打ち出したり、企業ブランドを再構築したりすることで、新たなイメージを創出するという企業の再スタート地点としての役割も担っていると言えるでしょう。

デジタル技術の発展により、記念式典などのイベントがオンラインで開催されることやリアルとオンラインのハイブリッドで開催されることも増えてきました。社会の流れも踏まえつつ、周年記念を祝うことの重要性と、どのような周年事業を進めると、ステークホルダーの幸せを生み出せるのか、企業経営の今後が明るいものになりそうのか、という観点で検討するといいのではないでしょうか。

次回は、「BtoBマーケティングで効果測定するための指標とツールの選び方」についてご紹介予定です。
どうぞ、お楽しみに!

■過去のコラムは以下からご覧ください。
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※本記事は、2024年3月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。

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