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Webのアクセス分析がもたらすインパクトとは?

*本記事では、BtoB企業におけるWebアクセス分析のインパクトについて、具体例とともに解説します。

*以下のような方々にご紹介する記事です。

  • マーケティングや企画部門の担当者
  • Web担当者
  • マーケティングで企業の経営改善を望む方
  • デジタル変革を進める担当者
Webのアクセス分析がもたらすインパクトとは?

Webのアクセス分析は、デジタル時代のビジネスにおいて「Webで発信するコンテンツの検討」、「Webのリニューアル」、「マーケティングの効率化」、「顧客満足度の向上」など、さまざまなシーンにおいて必要なステップです。技術の進化に伴い、より詳細で正確な分析が可能になってきています。
今回は、Webのアクセス分析がもたらすインパクトおよび効率的で効果的な戦略を立てるためのアクセス分析におけるポイントについてご紹介します。

市場概況

まず、BtoB企業各社は、商材検討における購買行動(意思決定)をどのように起こしているのでしょうか?製品・サービスの認知度向上やデジタルマーケティングの推進に取り組むBtoB企業の皆さんに現状を認識していただくため、「BtoB商材の購買行動に関する実態調査」の結果(*1)をご紹介しましょう。

Webサイトを主要な情報源としている企業が多数

本調査結果は、2020年~2022年までの過去3年間において、勤務先で購入・導入した製品、あるいはサービスの検討・意思決定に関わった会社員420名に、製品やサービスを検討する段階で収集した主な情報源を聞いた結果です。「各種Webメディア」が 47.9%と突出しました。次いで「テレビ」が 37.1%、「提供企業のWebサイト」が 35.0%と続いていますね。

● 直近で関わった、製品やサービスを検討する段階で収集した主な情報源をすべてお選びください。(n=420)

直近で関わった、製品やサービスを検討する段階で収集した主な情報源をすべてお選びください。(n=420)

また、直近で関わった、製品・サービスの検討にあたり、具体的に比較した候補の数を聞いた質問項目では、「1つ」が18.8%、「2つ」が 24.8%、「3つ」が 24.5%となりました。一方、「4つ」または「5つ以上」と回答した合計は 14%に留まりました。

● あなたが直近で関わった、製品・サービスの検討にあたり、具体的に比較したものはいくつありましたか?(n=420)

あなたが直近で関わった、製品・サービスの検討にあたり、具体的に比較したものはいくつありましたか?(n=420)
  • *1 引用元:「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート2023」/株式会社ITコミュニケーションズ・B2Bマーケティング株式会社株式会社 共同調査(無料配布)
    https://www.it-comm.co.jp/media/report-btob-behavior-2023(外部サイトにリンクします)

データをもとに考える

上記の調査結果では、紙媒体、展示会、営業との連携、そしてSNSやメールマガジン、という順番で続いていますが、企業の商材やサービスによって優先順位はまちまちですので、Webサイトをベースにし、主な情報源となっているほかの媒体やイベントで、Webコンテンツの内容を的確に紹介していくことが、マーケティングの最適な情報発信方法といえるのではないでしょうか。

また、2つ目の結果からは、約3分の2が製品・サービスの具体的な検討を3つ以内に絞っていることがわかります。これは、より検討の早い段階で認知されたり、比較対象に残ったりするようなマーケティング戦略や施策の実施が求められていると言えます。さらに本アンケートの別な質問によれば、製品やサービスを検討する際に参考にした提供企業のWebサイトの主なコンテンツを聞いたところ、「製品/サービス情報」が77.6%、「価格/料金表」が 70.1%、「実績/事例情報」が 61.9% との調査結果も出ています。

これらをもとに考えると、マーケティングのコンテンツプラットフォームであるWebサイトをどのように改善していくのがよいのかをアクセス分析をもとに検討し、より良いものに改善していくことが、ビジネス成功のステップとして求められている、と言えるでしょう。

データをもとに考える

ここがポイント!

では、Webのアクセス分析について、ポイントをご紹介していきたいと思います。

まず、基本的にWebのアクセス分析とは、どのようなことをするのでしょうか?2つの観点でご紹介します。

● データ収集:

Webサイトのトラフィック(アクセス数やページビュー)、アクセスしてきたユーザーの行動パターン(閲覧ページ、滞在時間、どこで離脱してどのページに遷移したか)、訪問者の人口統計学に該当する属性であるデモグラフィック情報(年齢、性別、職業、地域)などのデータを収集して調査・分析することです。

● ツールの利用:

上記のようなデータを収集するには、ツールを利用すると良いでしょう。具体的には、一般的な分析ツールとして使われているGoogle Analytics(外部サイトにリンクします)や詳細分析が可能なAdobe Analytics(外部サイトにリンクします)などの分析ツールを活用して、分析をします。

次に、Webへのアクセス分析をする際のポイントは、どこでしょうか?

● 目的を明確にする:

アクセス分析を行う目的を明確にすることが重要です。目的を明確にすることで、分析の方向性が定まり、効果的な施策を打つことができます。

● 指標を設定する:

アクセス分析においては、分析する指標を設定することが重要です。指標を設定することで、Webサイトの状況を客観的に把握できます。

● 分析ツールを選定する:

アクセス分析には、自社のWebサイトに合ったツールを選定することが重要です。また、ツールの使い方をマスターすることで、より効果的な分析が可能となります。

● 分析結果を可視化する:

Webサイトの状況を一目で把握できます。例えば、グラフや表などを用いることで、分析結果をわかりやすく表現できます。

● 改善策を立てる:

分析結果をもとに、Webサイトの改善策を立てることが重要です。例えば、人気のあるページに関連するコンテンツを増やす、離脱率の高いページの改善を行う、コンバージョンが発生しているページの改善を行うなどの施策を行うことができます。

以上のように、Webのアクセス分析を行う際には、目的を明確にし、指標を設定し、適切なツールを選定し、分析結果を可視化し、改善策を立てることが重要です。

では、アクセス分析をすると、結果的に何を得ることができるのでしょうか?主な3つをご紹介します。

● 戦略的な意思決定:

データに基づく客観的な分析により、感覚や経験のみに頼らない、戦略的な意思決定が可能となります。アクセスのデータ分析結果でWebサイトの現状を見える化したり、それをもとに施策を検討したりすると、関係者からも理解されやすく、賛同を得ることにもつながるでしょう。

● 顧客エンゲージメントと、検索エンジンの最適化(SEO)改善によるアクセス数の向上:

顧客の行動や嗜好を理解することで、より関連性の高いコンテンツ提供やWebサイト構造の改善ができ、顧客との関係を深めることにつながります。また、コンテンツの質と構造を改善することで、特定のキーワードでのランキングが低かったWebサイトが検索順位を上げ、アクセス向上の可能性も広がるでしょう。

● 効率的なリソース配分とビジネス成果の最大化:

効果的なマーケティングチャネルや活動にリソースを集中させることで、コスト削減と効率化を実現し、全体的なビジネス成果の向上を目指し、長期的な成長と収益性を確保する礎となります。

このように、Webのアクセス分析は、デジタルマーケティングの成功に大切な役割を果たしており、ビジネスの持続的な成長と競争力の維持に重要な役割を担っています。

ここがポイント

<事例>

ここで、Webのアクセス分析で効果を出した事例をいくつかご紹介し、それぞれの取り組みを解説します。

● パーソナライズドレコメンデーション:

A社:顧客の購買履歴や閲覧履歴を分析して、個々の顧客に合わせた商品を推薦。
成果: これにより、顧客体験を向上させ、繰り返し購入を促進。売上に貢献しています。

● コンテンツ推薦システム:

N社:ユーザーの視聴履歴や評価データを分析し、個々のユーザーの好みに合わせたコンテンツを推薦。
成果: ユーザーエンゲージメントと満足度が向上し、長期的な顧客維持に貢献、新たな見込み客創出にも寄与しています。

● 在庫管理とトレンド分析:

Z社:売れ筋商品やトレンドをリアルタイムで分析、迅速な在庫調整やトレンドに合わせた商品を開発。
成果: 在庫の最適化とトレンド対応により、売上の増加と在庫コストの削減に成功しています。

● 検索アルゴリズムの最適化:

G社:検索クエリとユーザー行動データを分析し、検索アルゴリズムを最適化することで、より関連性の高い検索結果を提供。
成果: ユーザー体験の向上により、検索分野の影響力をさらに強化しています。

● 広告ターゲティング:

F社:ユーザーの行動データや興味関心を分析し、ターゲットに合わせた広告を表示。
成果: 広告のパーソナライゼーションにより、同社広告収入を増加させています。

これらの事例は、Webのアクセス分析を効果的に活用してビジネスにインパクトを与えた例です。
各企業は、データを収集し分析することで、顧客のニーズを理解し、よりパーソナライズされた商品やサービスを提供することができ、結果的に満足度の向上、市場での競争力の強化、そして顧客とのリレーションを強め、売上や利益の増加に直結させていると言えます。

なお、アクセス分析結果を効果的に活用するには、データの収集と分析に関する専門知識が必要です。それらに特化した企業に相談したり、依頼したりすることも選択肢の1つとして頭にいれておくと良いでしょう。また、データプライバシーの観点から適切な管理をすることも大切なポイントです。分析をする際にはデータの管理者や責任者をしっかりと決めておきましょう。

ここがポイント

今後の展望

このように、Webのアクセス分析は、単にデータを収集すること以上の価値を提供します。先ほど、ご紹介した事例は、データを戦略的に活用することの重要性と、それによって得られる潜在的な利益やメリットを示しています。市場動向をより正確に把握し、顧客ニーズに即応した戦略も立てることができるようになりますし、何よりも、データをもとにしたビジネスの意思決定を実現し、顧客中心のアプローチを取るための基盤を築くマーケティング戦略の最適化につながります。

また、分析の結果は上記以外にも、広告効果やリソース配分の確認・見直し、キャンペーンの評価、ページの読み込み速度やレスポンスタイムを最適にするパフォーマンスなどの技術的な側面、競合サイトとの比較や市場トレンドの理解、分析結果を基にした予算配分の最適化などにも紐づきます。Webのアクセス分析には、それほど幅広いインパクトがある、ということが理解できたのではないかと思います。

今後、Webのアクセス分析は益々重要性を増していくでしょう。しっかり分析をして、その結果をもとに戦略を立て、各企業にあった的確なコンテンツを発信したり、さまざまな業務を改善したりして、見込み客とのリレーション強化に注力しましょう。Webのアクセス分析は、ビジネスを成長させるための扉を開く第一歩なのです。

今号では、Webのアクセス分析が、ビジネスの各側面において顕著なインパクトをもたらすことをご紹介しました。
次回は「BtoB企業のWeb広告の成功」についてご紹介予定です。どうぞお楽しみに!

■過去のコラムは以下からご覧ください。
マーケティングコラム

*本記事は、2024年1月に作成、公開しました。記事の内容は当時のものです。

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